湘南新宿ラインでの化粧。
―彼女を見ない選択なんて―

【第19回】 どうってことではないのかもしれない。賛否はあるのかもしれない。が、演劇作家としては、その仕草に見とれてしまうしかない。朝。車窓なんか、そっちのけで。彼女のショーは始まる。だから、脳内は彼女のことでいっぱいなのだった。

湘南新宿ラインに乗っているとよく目にすることなのだけれど。朝の、すこし通勤ラッシュが収まってきたころに、ぼくはいつも新宿から乗るのだが。渋谷あたりを越えたくらいで、それまでたぶん「すっぴん」に近いかんじだとおもっていた女性が、突然。化粧を始める。普段、ぼくは横浜で舞台稽古をしているから、湘南新宿ラインはかなり利用するのだけれど、たしかに武蔵小杉を越えたあたりの横浜へ向かっていく車窓の外の景色も、なんとも言えないかんじで好きといえば、好き。だけれど、湘南新宿ラインの魅力、というか醍醐味は景色じゃなくて、この光景だとおもうのだ。

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