10万部を超えるには、テレビでの露出がモノを言う
加藤貞顕(以下、加藤) すでに売れている『MBAより簡単で英語より大切な決算を読む習慣』ですが、noteの販促が第一とはいえ、これだけ順調だと、ほかにもいろいろな展開が期待できますよね。
シバタナオキ(以下、シバタ) たしかに、「日本に帰ってきてコメンテーターくらいにはなれるよ」って結構言われますね。
加藤 たしかに、そういうことをやると本ももっと売れるんですよ。
シバタ なるほど。ぼく自身はあまり有名になりたくない、というのはあるのですが、本やnoteのコンテンツそのものは広まって欲しいなぁとは思っています。
加藤 著者の露出は本の売れ行きにダイレクトにかかわります。シバタさんの目標は10万部ということでしたが、その部数を狙うとなるとテレビでの露出はひとつの定石ではあります。
シバタ でもやっぱり、アメリカでやれるならアメリカでやっていたいなとは思うんですよね。それと、これまでは大企業に依存していなきゃできなかったことが今は個人でもできるんだ、というのをぼくは試したくて。
加藤 というと?
シバタ たとえば今は自分でなにか新しい製品をつくりたい場合に、「Kickstarter」のようなサイトで資金を調達するところまではできるようになった。大手メーカーが新製品を出すのと比べて、流通はどうしても弱いんだけど、あと10年経てばそこの状況も変わってくるはず。もう大手メーカーに入る必要がなくなる可能性だってあります。
そのトレンドをコンテンツの世界で示しているのがnoteとcakesで、書籍の流通についても、自分の力でどれだけマスに届けられるかを試してみたいところはありますね。
加藤 はい。個人がマスに届ける流れが加速していくという話でいうと、cakesで連載した内容の書籍がベストセラーになるパターンもすでにかなり出てきてるんですよ。シバタさんのnoteを読んでいる人も、ぼくの周りにもたくさんいます。ピースオブケイクは半年前に資金調達をしたんですけど、そのときにお会いしたベンチャーキャピタルや事業会社の投資担当者のみなさんの、ほとんど全員がシバタさんのnote購読してましたから!
シバタ (笑)。
加藤 すごくないですか? ほとんど全員ですよ!
シバタ ちょっと怖いですね(笑)。変なこと書けない。
加藤 これだけプロが読んでるってなかなか驚異的ですよね。「うちのサービスでやっていただいてます」ってアピールさせていただきました(笑)。
シバタ お役に立てたなら良かったです。
加藤 プロがみんな買うような内容の濃いコンテンツが、書籍にもなって広くマスにも届くというのは、コンテンツのマーケットにとって、すごく理想的な展開だと思います。
インターネットの影響力は、未だ認知されていない
シバタ ぼくがFacebookでいつものように告知しただけで本の予約数がポーンとはねあがったので、出版社の人たちも驚いてましたね。有名人ではないし、本の中身はわからない状態だったのに。やっぱりそれはnoteをすでに読んでくれている方がいたというのが大きい。
加藤 noteを読んでいる人たちによる、シバタさんのコミュニティができていたんでしょうね。
シバタ コミュニティというほどのことを、ぼくは何もしていないですけどね。
加藤 お互いにコミュニケーションをとるわけじゃないですけど、「決算を読む」という分野に関心ある人の「枠」が生まれたと思うんですよね。たぶん、5000人~1万人くらい。
シバタ なるほど。それで最初からバーンといっちゃったんですね。
加藤 インターネットで人気のある人の本を出すときの部数って、これまでの出版の感じとだいぶ変わってきてるんですよ。出版社もまだ慣れてないところがあって、「作家」枠で有名でない人だったりすると、出版社は初版部数をひかえめにしたりしますが、そうするとAmazon予約で一瞬で売れきれて、あわてて増刷したり、最近よくありますね。