白人至上主義者たちのデモで起こった衝突
先週土曜日、アメリカの東部、バージニア州シャーロッツビルで白人至上主義者(white supremacists)が大規模の集会を行った。
前夜には、集まった白人至上主義者がタイマツを掲げて、ナチス式の敬礼をしつつ、
「単一民族、団結した国家、移民受け入れ廃止」
(one people, one nation, end immigration)
と唱えて行進した。
その映像は、映画『ミシシッピー・バーニング』を連想させ、背筋が凍えた。
翌日の集会では、白人至上主義者らとそれに抗議する集団が衝突し、暴動になった。
また、抗議デモの集団に自動車が突入し、その結果32歳の女性が死亡した。車を運転していたのは、オハイオ州からやってきたナチス信望者の20歳の男性だった。
多くの人が負傷し、死者まで出したこの事件について、トランプ大統領は記者会見で次のような声明文を読んだ。
「われわれは、多くの立場からの、このはなはだしい憎悪、偏見、暴力を、極めて断固として批判する」
(We condemn, in the strongest possible terms, this egregious display of hatred, bigotry and violence on many sides)
そして、強調するように「多くの立場から」(on many sides)と繰り返した。
ホワイトハウスは、「多くの立場」という言葉の意味を「デモを行った集団とそれに抗議する集団の間で暴力があった」(There was violence between protesters and counter protesters)と説明した。
つまり、トランプもホワイトハウスも、白人至上主義者を名指しで批判することを避けたのだ。
黒人の抗議者にだけ批判をしたトランプ
これには、民主党だけでなく、トランプが属する共和党からも非難の声があがった。
また、製薬会社メルクのCEO(最高経営責任者)であるケン・フレージャーは、ツイッターで大統領製造業諮問委員会の委員を辞任することを発表した。
フレージャーはその理由をこう説明した。
「わが国を強くしているのは、ダイバーシティであり、多様な宗教、政治理念、人種、性的指向の人々の貢献だ。すべての人間が生まれつき平等だという理念が、アメリカの基盤となっている価値観だ。憎悪と偏見、そしてひとつの集団の優越性の表現は、その理念に反するものである。アメリカの指導者はそれらを明確に拒絶することで、わが国の基盤になっている価値観を尊重するべきだ」
それに対して、トランプは次のように大人げないツイッターでやり返した。
「メルク製薬のケン・フレージャーは、大統領製造業諮問委員会を辞任したから、これでぼったくりの薬の値段を下げる暇ができるだろう」
大統領の対応に抗議して諮問委員会を辞めたのはフレージャーだけではない。アンダーアーマーとインテルのCEOも辞任を発表した。
それなのに、トランプがしつこくツイッターで攻撃したのはフレージャーだ。違いは、フレージャーだけが黒人だというところだ。
白人至上主義者を名指しで非難しないくせに、黒人のフレージャーは即座に非難したトランプに対しての批判の声が、メディアやソーシャルメディアで高まった。
これらの批判に対して、ホワイトハウス内でも大統領を説得する動きがあったのだろう、事件から2日たって、ようやくトランプは、「クー・クラックス・クラン(KKK)、ネオ・ナチ、白人至上主義者」を名指しで非難した。
しかし、国の指導者として、この対応は遅すぎたし、真摯ではないことが明らかだ。
白人男性の右翼が集結した場所は
ところで、バージニア州シャーロッツビルでの集会とはどんなもので、集まったのはどんなグループなのだろうか?