「飲食店をやりたい」と相談に来る人たち
いらっしゃいませ。
bar bossaへようこそ。
僕は『バーのマスターはなぜネクタイをしているのか』と『バーのマスターは「おかわり」をすすめない』という本を出しているせいか、よく「飲食店をやってみたいんです」という相談を受けるんですね。
でまあ、具体的に売り上げと原価計算とか立地と家賃みたいな話をすると、「勉強になりました」とか「がんばります!」なんて言われるんですが、その後どれだけ月日が流れても、「お店やりたいなあ」ってままの人っているんです。
あなたの周りにもいませんか? いつまでも「転職したいなあ」って言いながら全くやめそうにない人とか、「俺、起業しようと思うんだよね」って言いながらしない人、あるいは、「仕事をやめたい」と言いながらいつまでもフリーにならない人もいます。
これ、どうしてなんだろうっていつも疑問なんですね。まあ正直に言えば「気が小さいだけ」と言いますか、「度胸がないだけ」なんて思っていたんです。だから、そういう「林さん、お店やりたいんですけど」って相談してくれたのに、いつまでたってもやらない人に対しては、軽く「がんばればいいんじゃないですか」みたいに適当にあわせることにしてたんです。でもやっぱりいつまでも僕のところに来て「やりたいんですよ」って言うので、どうしてなのか考えてみたんです。
そうしたらわかったことがありました。彼らは「もし独立すればこういう風に上手くいく」っていう「可能性」が自分のアイデンティティになっているんです。もし本当に独立してしまったら失敗するかもしれないので、「上手くいくかもしれない」っていう可能性が崩れてしまうんですね。
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