これで「最強のブスをつくれ」ということである
担当から「ブス図鑑と漫画の資料を送ります」と、数冊の本が送られてきた。
その中に『性格類語辞典 ネガティブ編』というものが入っていた。簡単に言うと、ありとあらゆる人間の短所が解説と共に書き連ねてあるという、暗い気分の時に後悔したり、明るい気分の時に読んで後悔したりするための本である。
しかし、表紙には「ネガティブ因子を増幅させてプラス要素に転換する! それがドラマだ!」という藤子不二雄A先生の力強いお言葉が記されている。
A先生といえば『プロゴルファー猿』の作者で、「ワイはブスや。プロゴルファーブスや」(5兆ヤードぐらい飛ばしそう)と、僭越ながらセリフをパロらせてもらった。少年向けだけではなく『笑ゥせぇるすまん』のような、人の心の闇を描いた大人向け作品も多数手掛けている。
創作において、人のネガティブな要素というのは、非常に大事なものであり、逆にキャラクターを魅力的に見せる役割を果たすのだ。
つまり、これで「最強のブスをつくれ」ということである。
普通だったら「漫画のキャラクター作りの資料として、これを送ってきた」と解釈すべきかもしれないが、それが担当の意向なら余計に無視しなければならない。
それに、そこまで興味があったわけでもないブスの研究を長くしてきてわかったが、芸能界が〝顔が良いだけ〟では渡っていけない世界なのと同じように、ブスも顔がブスなだけでは勝ち抜けないのである。
皆さまもお手持ちのブスに装備させて、最強のブスを目指してほしい
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