「ショーンKことショーン・マクアードル川上」
市川紗椰が司会を務めるニュース番組『ユアタイム』の視聴率がふるわず、この9月で終了するという。昨年4月からわずか1年半という短命に終わるわけだが、市川は「ショーンKと2人でやるはずだった番組」という奇特な前評判を、時間をかけて薄めて自分のものにしていく、という職務に最後まで取り組み続けた。その労苦は、視聴率とは別のベクトルで評価されるべきだろう。
番組終了を伝えるニュースを漁ってみると「当初はショーンKこと経営コンサルタントのショーン・マクアードル川上氏(49)と市川のコンビがメインキャスターを務める予定だった」(『女性自身』)や、「当初は、経営コンサルタントのショーンKことショーン・マクアードル川上氏(49)がメインキャスターで、市川はサポート役の予定だった」(『スポニチアネックス』)といった文言をいくつも確認できるのだが、番組が始まる前、つまり、経歴詐称問題が発覚するまで、ショーンKがショーン・マクアードル川上であることを把握していた人は皆無だったはず。
以前この連載でショーンKを取り上げた際、「前々からその存在を知ってはいたけれど、特に何の印象も持っていなかった人」のことを「ショーンK状態」と名付け、ショーンKって誰よりもショーンK状態だったよね、と元も子もないことを書いた。でも、いつの間にか、ショーンKは「ショーンKことショーン・マクアードル川上」という詳細説明を獲得している。少なくともメディアから放たれる基礎情報として、先のニュース記事のようにショーン・マクアードル川上が定着しているのだ。ショーンKは、その存在を消す過程で、ショーンK状態を脱したのである。これはなかなか特異な事態である。
表情をニュースに合わせすぎない
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