灼熱の太陽が照り続く8月。みなさまバテずにお過ごしでしょうか? こちらフランスでは、昼間に30度近くまで気温が上がろうとも、朝晩は長袖がないと風邪をひいてしまいそうなくらい寒くなります。しかも、下手をするとノースリーブを一度も着ないまま終わってしまうほど、こちらの夏はあっという間で短いんです。だから、家にも駅にも電車の中にも、クーラーというものが基本設置されていません。
ところが今年は珍しく、何度か37度を超えるような猛暑日が続くことがありました。そうすると、クーラーのない駅や車内では、命の危険を感じるほどの暑さになります。しかも私は、運悪くそんな日に限って、電車がなんと2時間も遅れるというアクシデントに遭遇してしまったのです。
今回は、そんなフランスの猛暑日に起きたアクシデントに対し、フランス人たちがとった意外なリアクションについて紹介してみようと思います。
すべての電車が「50分遅れ」になった瞬間
さて7月初旬。パリ中心地から離れた我が家に帰ろうと、郊外行きの電車が出発する駅へ到着したのが夕方4時頃。
いつも何番線から電車が出発するかは、高い天井にぶら下がった黒い電光掲示板を直前にチェックしなければわかりません。ちょうどよい電車を乗り逃してしまい、次の電車を確認しようと見てみたら、ダダダダ……と時刻が波打ちだし、全ての電車が「50分遅れ」の表示に変わってしまいました。
ふうぅ。今日は、こういうタイミングの悪い日なのね、と気持ちを切り替え、すぐに駅構内のカフェに居座ることを覚悟。フランスで言う「50分遅れ」というのは、実際、1時間半くらいは軽く遅れる可能性大というのは、身にしみて経験済みです。まあ、このくらいであればもうあきらめられる体質になってきたフランス暮らし7年目の今日この頃。駅の様子や電光掲示板が遠まきに見えるカフェで待機すること40分。事態はなにも変わらないので、一旦店を出てみました。
風もなく、時間とともに乗客の数だけが着実に増えてきている駅ホームは、立っているだけでも気が遠くなりそうな暑さ。地べたに座り込んで長時間待機を決め込んだ客も増えているなか、私も10分ほどそうしてみましたが、しんどくなり、クーラーのきいた二軒目のカフェへ再度避難。 ここでも40分ほど時間をつぶし、再び駅ホームの様子を見に戻ってくると、まっすぐ歩けないほどのさらなる人、人、人。
ところがようやく発車が確定した車両もあるらしく、乗客が電車にすし詰めに乗り込んで、東京・新宿駅のラッシュ時のような光景が目に入ってきました。
乗りたいけど、乗れない……。これは、何本か見送って、落ち着いた頃に乗るしかないなと、さらなる帰宅延期をしぶしぶ受け入れたのが18時頃。フランスの夏の太陽は、この時間帯が一番強烈です。気温はさらに上がり、人ごみのせいもあって、よけいに暑く感じられます。
熱中症対策のため、無料の水配給スタート
さてどうしたものかと、もうろうとした頭でぼーっと立っていたら、近くの人たちがざわついてることに気がつきました。この日の異例の猛暑とアクシデントによる人ごみで、熱中症者が出る危険を察知した駅側が、ペットボトルの水の無料配給を開始したのです。
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