哲学は奴隷のおかげで生まれた

そもそも、哲学はいつ、なぜ、どのようにしてはじまったのか? なぜ人間に必要とされたのか? 書籍『(推定3000歳の)ゾンビの哲学に救われた僕(底辺)は、クソッタレな世界をもう一度、生きることにした。』より特別連載。

前回の授業で、「哲学を学ぶことは、人生ゲームの攻略本を読むこと」と教えられた青年ひろ。しかし、こんな疑問にぶつかります。……そんなに有益な学問なのに、なんで誰も学ぼうとしないの? 上手に教えてくれないの? ひろはまず、哲学の成り立ちから学ぶことに。


哲学はいつ、なぜ、どのようにしてはじまったのか?

 第一回目の授業からちょうど1週間後、ひろは両国の江戸東京シティ博物館でゾンビ先生と再会した。
 もっとも、今回は呼び出しがあったわけではない。その日バイトが休みだったひろは、江戸東京シティ博物館で開催中の「大妖怪展」を観覧に訪れていた。そこで江戸後期に描かれた「百鬼夜行ぬらりひょん絵図」に見入っていたところ、突然背後からゾンビ先生に「おおっ!!! ひろじゃないか!!! 奇遇じゃな!!!」と呼びかけられたのである。
 驚いて気を失ったひろはゾンビ先生と学芸員によりいったん救護室に運ばれたが、ほどなく意識を回復すると、師弟は博物館から徒歩8分の緑町公園のベンチへ移動した。

「あ〜もうびっくりした! 急にあんな大声で呼ばれるんだもん! しかもゾンビに!」

「なにさ〜まだわしに慣れないの〜? いけずぅ〜」

「慣れないこともないけど、あんな暗いところで勘弁してよ。どうしてゾンビ先生が妖怪展に?」

「世界を席巻しているジャパニーズホラーの歴史が学べると聞いて来てみたんじゃよ。いやはや期待通り、珍奇などもがたくさん見られて興奮したわい」

「あなたも十分に物の怪だと思うんですけど」

「失礼な奴じゃな! わしのどこが物の怪だと言うんじゃ!」

「あっごめんなさい。そうでしたね、先生はあんな珍奇な物の怪どもと違って喋れるし、頭皮も着脱可能だし、息もしてないし人間をバラバラにして美味しそうに食べるしって物の怪!!! 圧倒的に物の怪!!! 紛れもなく物の怪の!!! ゾンビ先生が妖怪展に一緒に陳列されてても十分しっくりきますから!!」

「キ—!! 先生に向かってその態度はなんじゃ!! そういう礼儀をわきまえん奴には、おしおきじゃ!! これでもくらえ!」 ガブリッ!

 ゾンビ先生はキ—といなないて歯をむくと、ひろの前腕部に威勢よく噛みついた。

「痛いっ!! 嚙みつくだなんて、なんて凶暴な!! それが大人のやることか!」

「ふん。おまえが非礼な行いをするから悪いんじゃろうが」

「………………。あの、ちょっと待ってね先生。人間がゾンビに噛まれた場合って、どうなるんでしたっけ?」

「そのくらいおまえも知っとるじゃろう。ゾンビに噛まれた人間は転化する。つまり……、ゾンビになるんじゃよ」

「ぎゃ—っ!!! うわおおおお—っっ!!!」

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ゾンビの哲学」に救われた僕は、クソッタレな世界をもう一度、生きることにした。

さくら剛

さくら剛の超・哲学入門! 「とっつきにくくて、わかりにくい」、「でも、人生の役には立ちそう」。本書は、そんなやっかいな哲学を「冴えない青年“ひろ”が、古代ギリシア生まれの哲学者“ゾンビ先生”から学んでいく物語」です。哲学とは? この世...もっと読む

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