息をしすぎて苦しくなる肺の不思議

医療小説を手掛ける久坂部羊さんは、「肺では空気と血液がじかに触れないのに、どうして酸素が血液に入って、二酸化炭素が出てくるのだろう?」と子供の頃から不思議に思っていたのだとか。教科書で学んだ記憶はあるものの、言われてみるとその仕組みはよくわかりません。今回からのテーマは「呼吸システムの謎」。どんな色をしているのか? 大きさはどのくらいなのか? 知っているようでよく知らない、肺の仕組みに迫ります!

肺は右に三つ、左に二つ

さて、ここからは身体のシステムについて書いていきます。

まず最初は、呼吸のシステムについて。

呼吸といえば肺です。肺の大きさは、年齢や体格によっても異なりますが、左右の肺を合わせると、約4000㎖あります。

肺に出入りする空気の通り道を「気道」といい、それは「口腔・鼻腔」からはじまり、「咽頭」を通って「喉頭」へと続きます。咽頭は、簡単にいえばのどの奥です。喉頭はのど仏のある場所で、エピグロティスというフタがついているのは、第一講で述べた通りです。

喉頭には「声帯」がついていて、ここにポリープができると(「声帯ポリープ」)、声が嗄かれます。

喉頭の下に続く管が「気管」ですが、やせている人なら、皮膚の上から触ることができます。左右の鎖骨の合わせ目、胸骨の上のくぼみは、皮膚のすぐ下が気管なので、指で押さえると気管の軟骨(気管がへしゃげないように輪状に連なっている軟骨)を触っている感じがわかるでしょう。

「気管切開」というのは、長期間、人工呼吸をするときに、口や鼻からチューブを入れっぱなしでは苦しいので、気管に穴を開けて直接チューブを入れることです。切る場所は、今言った胸骨の上のくぼみの部分です。正月などに、万一、高齢者がのどに餅を詰まらせた場合は、カッターナイフか何かでここを切れば、呼吸ができます(大出血や甲状腺損傷の危険もあるので、一般の人にはむずかしいかもしれませんが)。

ついでながら、餅をのどに詰まらせたときの救命法は、掃除機を口に突っ込んで、吸い出す方法があります。これは案外効果的で、高齢者の施設では、専用の掃除機型吸引器を備えているところもあるほどです。

この続きは有料会員登録をすると
読むことができます。
cakes・note会員の方はここからログイン

1週間無料のお試し購読する

cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。

人気の連載

おすすめ記事

脳みそ喰われても痛くないって、ホント? 謎がいっぱいの医学講座へようこそ!

この連載について

初回を読む
カラダはすごい! モーツァルトとレクター博士の医学講座

久坂部 羊

ようこそ、ミステリアスな医療の世界へ――。本講座では、モーツァルト、レクター博士、手塚治虫、ドストエフスキー、芥川龍之介、ゴッホ、デビットボウイなど、文学や映画、芸術を切り口に人体の不思議を紐解いてゆきます。脳ミソを喰われても痛くない...もっと読む

この連載の人気記事

関連記事

関連キーワード

コメント

marekingu #スマートニュース 約1年前 replyretweetfavorite

suerene1 https://t.co/mvagbyS5hH 約1年前 replyretweetfavorite

oldblue2012 https://t.co/Z2W33koxB2 禁煙に苦労する人も、このおどろおどろしい肺の実物を見れば、いっぺんに煙とおさらばできると思いますが。 約1年前 replyretweetfavorite

fkoba4 https://t.co/2ZSzxyYlPL “ヘビースモーカーの肺は、コールタールのような汚れがべっとりこびりつき、肺がんの手術などで気管支を切ると、断面からタール状のニコチンが垂れてきたりします。” 約1年前 replyretweetfavorite