肺は右に三つ、左に二つ
さて、ここからは身体のシステムについて書いていきます。
まず最初は、呼吸のシステムについて。
呼吸といえば肺です。肺の大きさは、年齢や体格によっても異なりますが、左右の肺を合わせると、約4000㎖あります。
肺に出入りする空気の通り道を「気道」といい、それは「口腔・鼻腔」からはじまり、「咽頭」を通って「喉頭」へと続きます。咽頭は、簡単にいえばのどの奥です。喉頭はのど仏のある場所で、エピグロティスというフタがついているのは、第一講で述べた通りです。
喉頭には「声帯」がついていて、ここにポリープができると(「声帯ポリープ」)、声が嗄かれます。
喉頭の下に続く管が「気管」ですが、やせている人なら、皮膚の上から触ることができます。左右の鎖骨の合わせ目、胸骨の上のくぼみは、皮膚のすぐ下が気管なので、指で押さえると気管の軟骨(気管がへしゃげないように輪状に連なっている軟骨)を触っている感じがわかるでしょう。
「気管切開」というのは、長期間、人工呼吸をするときに、口や鼻からチューブを入れっぱなしでは苦しいので、気管に穴を開けて直接チューブを入れることです。切る場所は、今言った胸骨の上のくぼみの部分です。正月などに、万一、高齢者がのどに餅を詰まらせた場合は、カッターナイフか何かでここを切れば、呼吸ができます(大出血や甲状腺損傷の危険もあるので、一般の人にはむずかしいかもしれませんが)。
ついでながら、餅をのどに詰まらせたときの救命法は、掃除機を口に突っ込んで、吸い出す方法があります。これは案外効果的で、高齢者の施設では、専用の掃除機型吸引器を備えているところもあるほどです。
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