世界のワイン生産国は、旧世界と新世界に分かれる(ワイン愛好家の会話で、「旧世界」はあまり使わないが、「新世界ワイン」は普通にバンバン使う)。旧世界のワイン生産国は、昔からヨーロッパでワインを作ってきた国。新世界は、それ以外の国だ。具体的には以下の通り。
旧世界ワイン生産国
①フランス
②イタリア
③スペイン
④ドイツ
新世界ワイン生産国
①アメリカ
②カナダ
③チリ
④オーストラリア
⑤ニュージーランド
⑥日本
旧世界ワインに対するイメージは、「高価だけれどエレガントで飲み飽きしない」であり、「繊細な関西風の味付け」とか「結婚するならこんなおしとやかな女性」の雰囲気。ただし、旧世界ワインは京都みたいに、因習的で冒険をせず、生産者の評価も固まっていて、大化けする生産者が飛び出す可能性は少ない。
新世界ワインは、若くて濃厚で価格も手ごろ、第一印象が強くて舌にズシンとくる。イケイケ風のオネエサンで、デートに連れていって、「どうだ、イイ女だろう」と自慢できる。舞台衣装を着た叶姉妹的で、1週間連続でデートすると生命力を吸い取られる気持ちになるはず。
旧世界と新世界のどちらがイイかは個人の好み。「両方好き」が正解かも。ではまず旧世界ワインから、それぞれの国の概要や特徴を以下に挙げていこう。
高価だけどエレガント!旧世界ワイン国
(1)フランス
「ワインの王であり、王のワイン」として、銀河系で一番威張っているワインの老舗的生産国。2大高級赤ワインであるボルドー系とブルゴーニュ系ワインだけでなく、辛口の白、極甘口のデザートワイン、スパークリング・ワインの王様であるシャンパンまで、5部門を完全制覇し、世界中の新興ワイン生産者のお手本になっている。
新世界のワインは、ドッシリ系で濃く、プロレスラーのように力で圧倒するが、フランス産はエレガントで飲み飽きしない。コンテストでは、インパクトの強く分かりやすい新世界物が優勝することが多いけれど、真っ先にボトルが空になる「真の勝者」はフランス物だ。
(2)イタリア
濃厚で力強い赤や白を作る。フランス・ワインがイヴニング・ドレス姿の優雅なカトリーヌ・ドヌーヴなら、イタリア・ワインは、舞台化粧に派手な衣装をまとったソフィア・ローレンだ。日本には、イタリア・ワインの熱狂的なファンが多い。
ワイン生産国には独自のワイン法がありイタリアにもあるが、陽気なラテン系のイタリア人は規則を守るのが大の苦手。イタリアワインのランクで一番低い階層の「ヴィノ・ダ・ターボラ」には、1本数百円の安ワインと、1本10万円の稀少な高級ワインが混在していて訳がわからない。イタリア・ワインは、ワイン法上の階層と値段は一致しないので、ソムリエの認定資格を受験するのでない限り、ワイン法は無視してイイ。逆に、価格と品質は比例するので、分かりやすいとも言える。
(3)スペイン
「ピレネー山脈の向こう側はヨーロッパではない」と悪口を言われてきたスペイン。1800年代の終わりから1900年代にかけて、フランスの葡萄畑をフィロキセラという恐怖の害虫が襲い、ワイン産業、特に、ボルドーが壊滅しかけたことがあった。その時、ボルドーの生産者は、こっそりとスペインの濃厚な赤、リオハを混ぜて「ボルドー産」として売っていたほど高品質。スペインの芸術家は、ピカソやダリみたいにアクが強いが、ワインも個性が強く妖しく怪しい。ハマる人はハマるはず。
スペイン・ワインで注目は、スパークリング・ワインのカヴァ。シャンパーニュと同じ製法で手間暇かけて作るが、1,000円台で買える。私も、いつも、お世話になっている。
(4)ドイツ
5年前までは、「アルコール度数が低く酸味がスッキリした半甘口の白ワインが多い」と愛好家が思い込み、アルプスの少女ハイジのような可愛いイメージがあった。今は、ナターシャ・キンスキーみたいに、キリリとした美女系の辛口ワイン王国に変身した。ただし、オジイサンが経営しているワイン・ショップでは、今でもドイツ・ワインのコーナーに半甘口の白しか置いていないので注意(オジイサンの時代は、半甘口のドイツ・ワインを飲んでワインに目覚めた人が多いため)。ただし、半甘口の白ワインは、キリリと冷やすと中華や鍋と絶妙の相性を誇るので、ぜひ、試してほしい。
濃厚系が好きな人におすすめ! 新世界ワイン国
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