デートの時の力強い味方、スパークリング・ワインを極める

「正義は安さにあり」がモットーのワインライター葉山考太郎さんに、ワインの味からレストランや家で飲むときの秘訣を教えてもらう本連載。第4回目は、ワインの中で、最もスタイリッシュで華麗なスパークリング・ワインについてのお話です。シャンパーニュを頂点とするスパークリング・ワインは、意外に身近な飲み物で、デートの時の力強い味方になってくれるそうですよ。記事末コラムでは葉山さんオススメの安旨スパークリング・ワインもご紹介!

これまでの2回(「赤ワインはこの2つをおさえておけば間違いなし!」白ワインは1種類だけ覚えておけば、世の中を渡っていける」)で、私の独断で世界のワインを無理やり、以下の5つに分類し、(1)(2)(3)を取り上げた。

(1)ボルドー系の渋くてどっしりした赤ワイン

(2)ブルゴーニュ系の酸味がありエレガントな赤ワイン

(3)辛口の白ワイン

(4)超甘口のデザート・ワイン

(5)シャンパーニュを頂点とするスパークリング・ワイン

今回は、(5)のスパークリング・ワインを取り上げる。

(1)のボルドーの赤は、三船敏郎や渡辺謙のように男臭くてドッシリしていて、(2)のブルゴーニュの赤は、グレース・ケリーやシャロン・ストーンのように知性と官能を備えている。で、(5)のスパークリング・ワインの頂点にあるシャンパーニュは、皇帝陛下のゴージャスな愛人みたい。愛人は、歴史上、本妻よりもキリリとスタイルがよく、華やかで金遣いが荒くなければならない。そんなシャンパーニュをうまく悪用してほしい。

スパークリング・ワインとシャンパーニュ

まずは、超基本から。泡が出るワインの総称が「スパークリング・ワイン」で、シャンパーニュは、「シャンパーニュ地方で作ったスパークリング・ワイン」のこと。泡が出る物を全てシャンパンとかシャンパーニュと呼ぶ人もいるが、それは大阪の寿司を「江戸前」と呼ぶのと同じ。レッド・カードを食らってしまう。ただ、アメリカでは、「カリフォルニア・シャンパン」を作っているらしい。

なお、「シャンペン」「シャンパン」「シャンパーニュ」は全て、同じ物。「シャンパン」は、英語読み、「シャンパーニュ」はフランス語読み。日本では、ボルドー地方のワインを「ボルドー」、ブルゴーニュ地方のワインを「ブルゴーニュ」と呼ぶので、シャンパーニュ地方のワインも「シャンパーニュ」が正しいが、これまで、英語読みの「シャンパン」を使っていた。

田崎真也さんが「ソムリエ世界一」になった1996年あたりから、ソムリエも「シャンパン」ではなく「シャンパーニュ」を使い始め、2000年以降は、プロは「シャンパーニュ」だけになった。一般には、まだ「シャンパン」と呼ぶため、レストランで「シャンパーニュをいただけますか?」とオーダーすると、めちゃくちゃカッコイイので、どしどし使おう。

逆にカッコ悪いのが「シャンペン」で、30年前の言葉。例えば、「私の血はワインでできている」と言う名言を残した女優の川島なお美さんが1979年に19歳で出したデビュー曲が『シャンペンNo.5』。当時は、「シャンペン」と呼ぶのが一般的だったが、今では古き良き時代の言葉として、フィリピン・パブで使うぐらい。「ネエチャン、シャンペン1本、持ってきてくれへんか?」

赤いスパークリング・ワインがない理由と、シャンパーニュの開け方

泡の出る赤ワインはあるけれど(イタリアのランブルスコなど)、白いカラスより珍しい。なぜか? まず、泡がキレイに見えないこと。コーラとサイダーのどちらの泡がキレイに見えるかを考えればいい。また、赤ワインにある渋みの素、タンニンは、冷やすと口や舌がギシギシする。冷めた紅茶を飲むと、口の中がイガイガになるのと同じで、冷やして飲むスパークリング・ワインは、渋みと相性が悪い。赤ワインは冷やさずに室温で飲むのはこのため。逆に、渋みがなくて、酸味のタップリした赤ワインは冷やすと美味い。

映画でシャンパーニュのコルクを飛ばして開けるシーンが多いけれど、あれは間違い。これまで私が参加したワイン会で2回、コルクが飛んで天上の蛍光灯を直撃し、割れたガラスが料理の上に落ちて大騒ぎになったことがある。シャンパーニュは、「お嬢様のため息」のように音を出さずに開けるのがプロだ。

シャンパーニュの開け方は、youtubeを見ると良い。炭酸ガスはシャンパーニュのボトルの容量の8倍も溶けているので、まず、冷蔵庫で十分冷やしガスを落ち着かせるのがコツだ。次にそっとキャップ・フォイルを剥がす。金属キャップを右手の親指で抑え、針金をゆるめる。で、針金を外さず、付いた状態でコルクをしっかり握り、左手でボトルの尻を掴み、ボトルの尻を左右に回す。そのうち、6気圧で押されてコルクが出てくるので、少しずつガスを抜く。この「親指と6気圧との戦い」が我慢のしどころだ。

音を出さずにシャンパーニュを開けるのはソムリエの基本だが、イタリア人のプレイボーイは、右手で彼女の肩を抱き、愛を囁きながら、左手だけでシャンパーニュを音なしで開けるらしい。さすが。

高級レストランで迷ったときには
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ワイン恐怖症のためのワイン入門

葉山考太郎

「ワインに興味があるけれど、難しそう」と、ワインに恐怖心を抱いている人は多いのではないでしょうか。そんな人に向けて、「正義は安さにあり」がモットーのワインライター葉山考太郎さんに、ワインの味からレストランや家で飲むときの秘訣を教えてい...もっと読む

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suerene1 普段はプロセコとかゼクトで大丈夫だけどね。→  https://t.co/SohZ7YRY1W 2年以上前 replyretweetfavorite