噂のお弁当を食べに、いざ鹿児島へ!
「鹿児島の嘉例川という駅においしい駅弁があるらしい」。
そんな噂を聞いたのは数年前のことでした。
でも「地元の食材を使った野菜だけのお弁当」ということと「とにかく手に入らないらしい」ということしか分からない。
どんなお弁当なんだろう? 思いはつのるばかりです。いつか行かねばならない。
そのいつかが今日なのです。
明治時代から変わらぬ佇まいを残す、JR九州の嘉例川駅。全国でも珍しい、特急が止まる無人駅なのだそう。
ちょうど「はやとの風」が到着しました。
噂のお弁当を作る山田さんに会いに
到着するとそこは、森を背にした趣ある駅舎。
「私、嘉例川の駅が大好きでね、すっごくいい所でしょう? 駅に感動して作り始めたの」
とおっしゃるのはお弁当を作る山田まゆみさん。
今でこそ押しも押されもせぬ人気の嘉例川弁当ですが、始めた当初は30個作って10個しか売れない日々が続いたとか。
「でもね、やめることはいつだってできるでしょう? この土地の野菜は本当においしいから作っている人を応援したい気持ちもあったの」
さっそく作っているところを見せていただくことに。
さつまいも、にんじん、にらなどの野菜がたっぷり入った揚げものは、「ガネ」と呼ばれる鹿児島の郷土料理。
おやつに食べることも多いとか。
「さっきちょうど畑からにらを採ってきたばかり」と山田さん。
しいたけもかぼちゃも、お弁当に入れる野菜はすべてご近所の農家のもの。春巻きに使うせん切り大根は83歳のおばあちゃんが作ってくれるのだそう。
「どの野菜も本当にイキイキしていておいしいの。特にしいたけのおいしさには眼を見張るものがあってね。たけのこと一緒にごはんに炊き込んで、上にも煮たものを飾るのよ」
そう話してくださる山田さんこそイキイキしていてなんだか楽しそう。
お弁当がおいしいと評判になる理由は、山田さんにあるのではないかしら?
都内などで開催される駅弁フェアなどから出店依頼が来るそうですが、「とても手が回らなくて」と山田さん。
ふだんはご主人と娘さんの3人ですべての仕込みをされるそう。
山田さん絶賛の肉厚しいたけ。
しょうゆはちょっと甘め。鹿児島の「かくい醬油」を。
「かれい川弁当」がついに完成! おかずは…?
ガネを中心に、炊き込みごはん、なすとかぼちゃの田楽、なます、
しいたけとたけのこ入りコロッケ、煮ものの春巻き。
さすが1日に150個作るとあって、手際のよいこと! あっという間にすべての料理が完成しました。
あったかくって、しみじみおいしいかれい川弁当。
「この土地の景色や空気と一緒に味わってね」はい! いただきます。
この後、桜島を眺めながらいただきました。
*森の弁当 やまだ屋
☎︎090-2085-0020
取り寄せ不可
鹿児島・嘉例川駅にて販売(10:30頃〜・土日祝のみ)
特急「はやとの風」車内にて販売(2日前までに、JR九州の各窓口で要予約)