vol.3 2013年は、将棋を観はじめるのに最高の年。

ここ10年で将棋を観る楽しみが最高潮に達していたのは、パリで竜王戦が行なわれた2008年。これ以上ないシチュエーションがととのっていた2008年を振り返りながら、梅田さんは、2013年も2008年以上に盛り上がる可能性が高いと熱く語ります。これまで将棋を観たことのなかったあなたも、伝説を目撃してみませんか?

羽生・渡辺がタイトル独占? 2008年の伝説が再来する

加藤 梅田さんは2008年に、パリで行われた竜王戦の第一局のリアルタイム観戦記を書かれたんですよね。この年は、本当に将棋がおもしろかった。

梅田 この竜王戦は、いろんな物語がぶつかりあったすばらしいタイトル戦でした。なんといっても、羽生善治名人はこの時点で、名人、王位、王座、棋聖、王将、棋聖の6タイトルの永世位のすべての資格を持っていて(※)、竜王戦に勝って初代永世竜王になると、「永世七冠」という前人未到の境地に達する、という戦いだった。それを阻止して、若き竜王・渡辺明が初代永世竜王の座を手にするのか。対局前から、ものすごく注目されていました。

※永世位とは、名人位を通算5期以上獲得すると永世名人、王位を通算10期、もしくは連続5期以上保持すると永世王位など、それぞれのタイトルを何期も獲得し、条件を満たした場合に与えられる称号。永世竜王は、竜王位を連続5期もしくは通算7期以上保持した棋士に与えられる。

加藤 この年の竜王戦は、シチュエーションが完璧でしたね。

梅田 将棋に誘われ、棋士に誘われ、奇跡のような1年に寄り添うことができたと思っています。2008年の将棋界は、ここ10年で一番盛り上がりました。
 そして、今年は、再びそういう年になる可能性が高いんですよ。

加藤 おお、たしかにそうですね!

梅田 今、羽生さんが王位、王座、棋聖の三冠を持っていますよね。そして、4月9日からの名人戦で、森内俊之名人と名人位をかけて争います。そしてまた渡辺明竜王も、棋王、王将をすでに勝ちとっていて三冠なんですよね。だから、羽生さんと渡辺さんがほとんどのタイトルに絡んでいる。

加藤 これは久しぶりの展開ですよね。渡辺竜王は、加藤一二三、谷川浩司、羽生善治につぐ、史上4人目の中学生でプロとなった棋士です。羽生善治を倒すのは、渡辺明だと言われて華々しくデビューしました。でも、しばらくタイトルは竜王だけだったんですよね。それが、2011年くらいから盛り返して、現在はものすごく充実されています。

羽生・渡辺はキャラクターの違ういいライバル

加藤 渡辺さんは、羽生さんが「変わりゆく現代将棋」という連載で急戦矢倉(戦法の一つ)についてかなり考察を深めているのにもかかわらず、2008年の竜王戦の第6局でいきなり急戦矢倉をぶつけてきました。こういうところがおもしろいですよね。


2008年の竜王戦第6局、後手・渡辺は後手番で攻める戦法である急戦矢倉を採用した。
後がない試合で羽生にこの戦法をぶつけてくる度胸に感嘆の声があがった。

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観る」将棋の楽しみかた—梅田望夫×加藤貞顕 将棋対談

梅田望夫

将棋の七つのタイトルの中でも高い格式と歴史のある称号「名人」。その「名人」の座を争い、天才たちがしのぎを削る将棋名人戦七番勝負が4月9日から始まります。この名人戦のスタートに合わせて、「観る将棋ファン」として将棋の普及活動に尽力する梅...もっと読む

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コメント

okadaic 「俺は東京生まれ文化系育ち、将棋観てる奴はだいたい友達」が叶う未来へ!!(そのざっくりした要約よ) 5年弱前 replyretweetfavorite

yaiask 13:30まで無料。はー、電王戦終わっちゃってさびしい。2013年は将棋界にとって伝説の年になるだろうというお話 → 5年弱前 replyretweetfavorite

sadaaki そしてそして、将棋が好きすぎる2人の対談です。今年は将棋が熱いですよ! 5年弱前 replyretweetfavorite