vol.2 将棋は、スポーツ観戦のように、「観て」楽しめる。

「指さない将棋ファン」を自認し、先日、文庫『羽生善治と現代』 を刊行したばかりの梅田望夫さんと、今回の名人戦第一局の観戦記者を務めることになったcakes編集長・加藤貞顕の緊急対談第2回。体を動かす他のスポーツに比べて、ただ「観る」だけで楽しむことが許されない空気のある将棋。しかし、棋士というミクロと将棋界というマクロによって奏でられる将棋の世界には、「指せない」ことを理由にして敬遠するのがもったいないほどの魅力があります。二人が語る、将棋を「観る」楽しみとは?

指せなくても、将棋のおもしろさはわかる

加藤 僕は、前述のとおり棋譜並べにはまって将棋の道に入り込んだんですが、梅田さんはそもそもどうやって将棋を覚えたんですが?

梅田 僕が将棋に出会ったのは小学校の頃ですね。その時は遊びで、父や友達と指して楽しんでいました。でも、歳を重ねるにつれて、観戦記を読んだり、NHK杯の大盤解説を観たり、将棋にまつわるエッセイを読んだりするのがおもしろくなってきたんです。

加藤 指すよりも。

梅田 そう。あるときから、将棋を観る、読む、という方の楽しみが大きくなった。奨励会という制度を含めた将棋界の仕組み、棋士の人間性、棋士の語りのおもしろさ、そのおもしろさにくるまれた棋譜、そういう全体が好きになったんです。昭和の時代に観戦記を書き続けた故金子金五郎九段の観戦記なんかは、そういう魅力の結晶みたいなものだと思います。

加藤 梅田さんは『羽生善治と現代』(中公文庫)で「一局一局の物語とは別に、将棋の進化についての物語に興味がある。複数の物語が折り重なり、重層的に奏でられていくことの楽しさがそこにはある」ということをおっしゃってますよね。

梅田 棋士というミクロと将棋界というマクロ、その両方にすごく興味があるんです。

加藤 将棋界のマクロというのは、たとえば梅田さんが『ウェブ進化論』(ちくま新書)で書かれた「知のオープン化」につながるお話ですよね。羽生世代やそれ以降の棋士たちが、将棋の技術をオープンにして、集団で強くなっていった過程はITの世界とつながっていますよね。

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観る」将棋の楽しみかた—梅田望夫×加藤貞顕 将棋対談

梅田望夫

将棋の七つのタイトルの中でも高い格式と歴史のある称号「名人」。その「名人」の座を争い、天才たちがしのぎを削る将棋名人戦七番勝負が4月9日から始まります。この名人戦のスタートに合わせて、「観る将棋ファン」として将棋の普及活動に尽力する梅...もっと読む

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コメント

asahi_shogi 山)本日朝刊からの名人戦第1局観戦記を担当されている加藤貞顕@sadaakiさん、第7局を担当して頂く予定の梅田望夫さんと「cakes(ケイクス)」で対談されています。第2回です→ 将棋は、スポーツ観戦のように、「観て」楽しめる。 https://t.co/x73OikZPXR 約5年前 replyretweetfavorite

ginnan81 |梅田望夫・加藤貞顕|梅田望夫×加藤貞顕 将棋対談|cakes(ケイクス) https://t.co/m6jSaId1Yx #shogi 5年以上前 replyretweetfavorite

tommynovember7 第三者が切り込むことで垣間見える知の世界のおもしろさを語る、梅田望夫。 5年以上前 replyretweetfavorite

sadaaki 梅田望夫さんとの将棋対談、2回目が公開されています。名曲は解説とともにある、というお話です。 5年以上前 replyretweetfavorite