1970年9月27日生まれの羽生善治さんは、すでに40代である。
スポーツ選手であれば、40歳を超えればもはや落ちていくしかない。それは宿命である。人間である以上、肉体的に衰えていくのは避けられないからだ。
しかし、将棋の場合、必ずしも年齢がハンデになるとはいいきれない。現に大山康晴さんが名人から陥落したのは49歳のときだったが、50歳を過ぎてから私を負かして王将になったし、名人戦の舞台にも63歳で戻ってきている。69歳で亡くなるまで現役で、しかもA級に在籍していた。
かくいう私だって、名人になったのは42歳のときで、その後王位のタイトルも獲得した。還暦を過ぎるまでA級にいたし、73歳の現在も現役を続けている。
ある棋士が「棋士は30代がいちばん強い」といっていて、その理由を「そのころがいちばん長時間研究をできるからだ」と述べていたけれども、私にいわせればそれは間違っている。
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