がんばればできる」って本当?

教える人と、教わる人がいた時に、しばしば教える人が偉そうに振る舞ってしまうことがあります。さらには「なんでできないの?」なんて言ってしまうことも。今回の「ワイングラスのむこう側」は、そんな時に「できない人」から見た考え方。自分ができない立場に立たされたらどう感じるか、考えながら読んでみてはいかがでしょうか?

渋谷で見かけたホームレスの男性

いらっしゃいませ。
bar bossaへようこそ。

これまでも何度か書きましたが、「知らない異性10人と出会って話す会」というのをbar bossaで定期的にやっているんですね。「映画好き」とか「読書好き」みたいにテーマを決めて、未婚の男女10人ずつに集まっていただいて、みなさん一対一で10分ずつ、会話をしていただくんです(ちなみに8月11日に「マンガ・アニメ好き」で開催します。興味のある方はぜひ)。

それで様子を見ていると、もどかしいといいますか、「普段もっと面白おかしく映画の話をしてくれるのに、今日はなんだか固いなあ」とか、「笑顔が素敵なのに緊張してるのか全然笑わないなあ」みたいに思うことがあります。もちろん、したくてそうなってるわけじゃなくて、異性の前だと普段のようにできなくなってしまうだけなんですよね。

渋谷でよく見かける20代後半くらいの男性がいるんです。リュックを背負ってジーンズを履いていて、ぱっと見は普通なんですが、よく見ると髪や靴や裾が汚れています。その彼が、ある時、コンビニ裏のゴミ袋からお弁当かなにかを漁っているのを見かけて、「あ、そうだったんだ」って気がついたんですね。

そういう人を見て、あなたはどう思うでしょうか?「この売り手市場の時代にちゃんと働こうよ。甘えてるんじゃないよ。探せば自分に合うような仕事くらいあるだろ」って思いますか? 僕はそう思えないんです。

ところで僕、とにかく「機械音痴」でして、お店ではアナログレコードをかけているのですが、ステレオ装置の配線なんかがもう全然わからなくて、全部友人にやってもらったんです。ああいうの、見ているだけで気持ち悪くなってしまうんです。男の子が小さい頃、ラジオを作ったり、目覚まし時計を分解したりしますよね。そういった感覚が皆無なんです。だから一切、そういう世界とは関係のない飲食業を選びました。

でも、最近は執筆仕事のようなことを始めてしまったり、取材を受けてその記事のゲラをチェックすることも増えてきたせいで、PC周りと言いますか、例えばワードとかエクセルとかPDFとかの使い方が全くわからなくてすごく困っているんです。そんなとき、「すいません。僕、そういうのが全然わからないんです。全部、メールに貼り付けて送ってください」って先に伝えるんですね。

なにがわからないのかがわからない
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ワイングラスのむこう側

林伸次

東京・渋谷で16年、カウンターの向こうからバーに集う人たちの姿を見つめてきた、ワインバー「bar bossa(バールボッサ)」の店主・林伸次さん。バーを舞台に交差する人間模様。バーだから漏らしてしまう本音。ずっとカウンターに立ち続けて...もっと読む

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コメント

HHIKARI7 やればできる、話せばわかりあえる等は全て幻想。「そうあってほしい」という願望でしかありません。 1年以上前 replyretweetfavorite

_us_a 正直理解できない。分かろうとしてないんじゃないかって思う。だって大多数が使うことができるから。…でもその少数派は…?って書いて今気付いた。→ 1年以上前 replyretweetfavorite

c0strk 前職のときのわたしの「まったくわかりません🙅」という苦しみを技術知識めっちゃある先輩が微塵も理解しなかったことを思い出す 1年以上前 replyretweetfavorite

hyakutaro_k これはあらためて刺さるし、忘れずにいたい。。 ⇨ 1年以上前 replyretweetfavorite