高校卒業。川原で悪友たちと断髪式

土岸カップルのいちゃつきぶりを見て、彼女がほしいと思った小森谷くん。だが、彼はいままで告白に成功したことがなかった。今回はいったいどうなるのか。そして時はながれ、とうとう卒業の季節がやってくる。
末期がんを宣告された男性の❝ありそうでなかった❞半生を描いた、『小森谷くんが決めたこと』を特別掲載!

 秋。

 土岸カップルのいちゃつきは炸裂し、留まることを知らなかった。

 自分にも彼女がほしい、と彼は強く思った。だが、それには告白しなければならない。

 幼稚園のときに好きだったちなみ先生に告白して、その六年後にまあまあ好きだった牧原さんに告白して、今はちょうどまたその六年後だった。

 たまたまだけど、こういう偶然は大切にしなければならない。人生三度目の告白を、自分はしなければならない。

 でも誰に?

 彼は真剣に考え、同じクラスの森さんにターゲットを絞った。

 クラスで一番仲の良い女子だった。正直、そんなに好きではなかったけれど、ずっと気にはなっていた。

 自分と森さんなら、いいカップルになれる予感がした。二人だったらきっと、愉快でスイートに歩いていける。結婚したっていいんだ、と彼は思う。

 彼の中にもすっかり土岸イズムは息づいていて、決めてからの行動は早かった。

 行くと決めたら、迷っているヒマはない。愛車のDioを三十分ほど走らせたところに、森さんの自宅はある。

 近くのコンビニから電話をし、彼は彼女を呼びだした。

 もの凄く緊張していた。だってこれは自分の一生を決めるようなできごとなのだ。

 今度こそ、告白を成功させなければならない。

 怯みそうになる心の奥で、土岸イズムを確認した。

 あいつみたいに、なりふり構わずぶつかって行かなきゃ駄目だ。突撃あるのみだ。土岸みたいにならなきゃだめだ。

 勇気を振り絞り、自分の精一杯の思いを、優しさで包んで相手に届けるのだ。

「いや、実はずっと好きでした」

 彼は森さんに思いを伝えた。

「えー! そうなの? 全然知らなかった」

 彼女はとても驚いた様子だった。

「それで、おれと付きあってください」

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余命2か月といわれた男—小森谷くんが決めたこと

中村航

僕、余命2ヶ月って言われたんですよ。でも、生き残っちゃいましたけど――。末期がんを宣告された30代男性の“ありそうでなかった”半生を、「100回泣くこと」の著者・中村航が小説化!

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