“個性的”という魅力について
今回のテーマは「浮きたくないが、人とかぶるのは嫌」だ。
これは、個人差はあれど誰もが一度は陥る思想である。
「普通は嫌だ」そんな想いが、いつでも俺たちを普通以下にしてきた、その雄姿は卒業アルバムや文集にしかと刻まれ、それを見るたびに「普通」の尊さを知るのである。
つまり「人とかぶるのは嫌」という自意識がスパークした状態がいわゆる「中二病」である。ただ大きな違いは、中二病は「浮きたくない」などという小賢(こざか)しいことは考えない、むしろ全力で回りの凡愚どもから浮上したいと思っている、もちろん漆黒の翼(片翼)でだ。
つまり「浮きたくないが、人とかぶるのは嫌」というのはかなり大人になっており、普通の尊さも知っているが、それでもやっぱり人と違うと思われたい、という中二心が捨て切れていない状態である。
では、人と違う、個性的だと思われることがそんなに良いかというと、残念ながら、いくつになってもちょっと良いのだ。私など、AB型であることを「へえー」とちょっと感嘆めいたリアクションをされただけで、得意満面である。たかがAB型如きでこれなのだから、もしチンパンジーと全く同じ血が流れていて、緊急輸血が必要になった際「お客様の中にチンパンジーの方はいらっしゃいませんか!」という放送が鳴り、みなの全注目が自分に集まった時点で「承認欲求満たされ死」すると思う。
やはり人間、他人と何か違う物を持っていて、さらにそれを他人に認知してもらいたいと思っているものである。しかし、個性的、変わっている、普通ではない、というのは時としてデメリットとなり、大人になるとそれはさらに加速する。