第4回】「それあるある」と愚痴噴出! 子会社若手の覆面座談会

子会社で勤務経験のある20代の社会人4人に、その実態や本音を聞いた座談会。日本のビジネス界を担っていく彼ら若手層からは、現場に渦巻く「子会社あるある」のような不満や愚痴が次々噴出した。

/元ネット広告大手の子会社勤務・20代女性 /大手携帯キャリアの子会社勤務・20代男性
/元大手広告会社の傘下企業勤務・20代男性 /大手消費財メーカー子会社勤務・20代男性

──「子会社」で勤務経験のある皆さんですが、実際に働いてみて感じたことを聞かせてください。

 まず給料を上げてほしいってことですね。

 早速始まったよ!

 それはともかく、僕は周りの社員と比べても、がんがん仕事をしていきたいタイプだと思っていました。ただ、就職氷河期の中で当時は慶應大生でも大企業から内定を得られず、かといってベンチャー企業は危険な香りがする。結果的に大手消費財メーカーの子会社に入社しました。

 すると(親会社から子会社に)出向してきている人が多くて、どれだけ頑張っても追い付けない壁がある現実に突き当たりました。日本企業は採用が入り口戦略になっていて、入り方が大事になっているじゃないですか。

 子会社社長は常に親会社からの出向者です。上から2番手、3番手なら子会社採用のプロパー社員でもなれる可能性はありますが、行けてもそこまでですね。

 当然、本社側の人事方針などもあるのだと思いますが、そういう会社人事の在り方に個人的には不満を感じています。転職活動も視野に入れていましたが、ひとまず希望していた国際部門に行けたので、1年間は頑張ってみようと思っています。

 私がいた会社は、(親会社と子会社で)交流は特になかったな。月1回、役員が親会社の人につるし上げられるぐらい(笑)。

 そこはだいぶ違いますね。うちの会社の場合、親子間の折衝もあるだろうし、社長が親会社から来るのは理解できます。ただそうなると、今の会社にいる限り出世に限界が見えていて、この先どうしていくか迷いもあります。

 大きな人事交流こそなかったけれど、親会社と子会社の社長同士は犬猿の仲だったな。親会社にもうけを献上する“上納金”みたいな仕組みがあってね。基本的に正社員1人当たり、月7万円ほどを親会社に献上しなきゃいけない、そんな決まりがあった。

 ただ、それは交渉によって若干、下げることも可能だった。というのも、ゲーム開発の別の子会社がグループ内では収益的に重要な存在で、その会社があるとき親会社に「上納金が多過ぎる」と文句を言って献上額を下げてもらった。

 うちの会社も、それまで上納金は絶対に下がらないと聞いていたのに、IPO(新規上場)を目指している中でやりとりのあった関係者から「あのゲーム開発子会社は上納金を下げてもらったみたい」という情報が後で入ってきた。

 そこで、私がいた子会社の幹部が親会社側に問い詰めると「実はその通りです」と認めた。最終的に、親会社側は「他のグループ会社には内緒にしてほしい」とした上で、私の会社の上納金も下げることにした。でも上納金の仕組み自体、一般社員は知らない。

 明かしましょう!

──社内でも「上納金」と呼ぶのですか?

 グループ運営費、という名前になっていたね。またグループ内で営業利益順に子会社がランキング化されていた。グループ運営費は販管費として営業利益から差し引かれるので、上納金が多いほど業績の重荷になる。親会社から収益状況について突っ込まれたときに「グループ運営費がなければ、こんな順位ではなかったのに!」という不満は、子会社の上層部の中にはかなりあった。

 それだと人数が多いほど、負担がかかることになりますね。

 そう。四半期末の従業員数によって、翌四半期の上納金が決まっていたから、例えば12月末ではなく、15日付の退職にさせたがっていた。月末まで在籍していると、その人がいないのに上納金を翌四半期も払わないといけなくなるから。

 闇は深いですね(苦笑)。

 本当にむかつくよね。新卒の給料は、親会社より2万円ほど少なかったけど、上納金がなければ子会社の方が数万円多い、ということになるわけで。

 現場社員がこの実情を知らずに働いているとは……。もう言ったら暴動が起きかねないですよ!

 ちなみに子会社は営業赤字。それでもグループ運営費を払わされていた。一方、孫会社は黒字で、そちらの方がもうかっていた。それで子会社は資金繰りに困っていて、孫会社から多額の借り入れをしていた。上納金は孫会社からも出ているけれど、孫会社在籍の社員は全て子会社からの出向者。だから、結局は子会社を通じて献上している形だった。

──営業赤字でIPOを目指しているとは。上場の目的は?

 ただ単にストックオプション(新株予約権)を手放したい、ということ。それだけで社員のモチベーションを引っ張っている。持ち株制度で従業員に子会社株を持たせていたのね。けれど、私は会社の業績が厳しいことを知っていたから制度に加入しなかった。同期の中には買っている人もいたな。

若手抜擢人事は人材獲得のため
モテる子会社社長

 あと同じ事業をやる子会社をたくさんつくって戦わせる仕組みがあったな。

一同 へ~(嘆息)。

──子会社同士で取引先がかぶるのでは?

 よくかぶるよ。要は「戦え」と。

 仲悪そうですね。

 Aさんとは同業界にいましたが、例えば子会社と孫会社の両社の営業マンが取引先に出向いて、そこの担当者から「何で同じグループ内の2社から来ているのですか」と不思議がられる。そんな話を聞くことも珍しくなかったですね。

 会社をつくるのもつぶすことも頻繁にやる。それで抜てき人事をニュースリリースで出すことがあるけど、あれは優秀な学生が入るのを狙っている目的が大きい。

 チャラチャラした若い人も「社長になれる」みたいな(笑)。

 例えば「2012年卒の3年目で子会社社長になった」という人のコメントがリリースに載る。すると、学生がそれを見て「若いのにそんな上まで行けるのか」などと思って受けると聞きますね。

 それで入ってはくるけれど、そういう会社は大体、2~3年後につぶれていることも多い(笑)。

──確かに親会社の若手が経営経験目的で出向する場合も多いです。

 ただ私がいた会社の場合、経験を積むのではなく、リリースに載せて優秀な人材を集めたいだけ。子会社ベンチャーの社長に就いた若手がしているのは、せいぜい営業リーダーレベルの仕事。損益計算書ですら読み込む能力がない。

 でも名刺の肩書は「社長」になっているってこと?

 だからキャバクラでモテる(笑)。ちなみに、合コンで“電通”と名乗る人は大体CCI(サイバー・コミュニケーションズ、電通子会社)というのもよくある話ね。

 子会社の若手社長は本社の経営会議には出ていなかったの?

 全然、出てない。経営会議に呼ばれるのは私がいた子会社だけで孫会社は対象外。取締役以上がローテーションで出るけれど、業績が悪いときなどは指名される。一番数字を分かっているから「今回は常務が来い」といった形で。

 人事的な話で言うと、被害を直接受けてはいないのですが、営業部隊に昨春、親会社の部長クラスの人が子会社に下ってきて、失敗を現場になすり付けるという不満を内部から聞きました。親会社が持っている広告分野を強めようとするタイミングで、上層部の人がたくさん入ってきたそうです。

──親会社側のリソースを活用しようとする中で、“天下り”も同時に起きたということですね。

 それが現場では弊害となっていたようです。僕が子会社を辞めた後は、あるときから役員が一斉に親会社の人に様変わりしました。

 それで思い出したのは、前職の入社時には従業員の約半数が親会社の出向者だったけど、「ゴミ捨て場」のようになっていたことね。

 私は親会社が広告系の案件を代理店に通す前、一度今の子会社に入ってくる、という場所で仕事をしています。そこで営業担当が親会社を訪ね、提案しに行くのですが、そのオーダーに振り回される感じがあります。

 もともとベンチャーにいたのですが、そのときの平均年齢は非常に低かった。一方、今の親会社は年齢層が高く、堅い社風もあって帰宅時間が早い。こっちは働いていて、しかも大事な案件なのに担当者がもう帰っている、というようなことが結構あります(苦笑)。

──Bさんの会社はベンチャーとして創業して数年後、今の親会社に買収されていますよね。

 そういう意味では、スピード感も親会社に左右されているところがあります。ベンチャーだったらすぐあれもこれもやろう、というふうになりますが、やっぱり上(親会社)がいると、ぱんぱんスピードを上げて、という形でプロダクトは生み出しにくいですね。

 親会社側には「グループ会社だからシナジー(相乗効果)を図っていこう」という文化がある。親会社が出しているサービスに沿った広告では、対象者が限られて逆に効果が薄くなってしまうのが実態なのですが、大方針も考慮してユーザーにメリットの少ない親会社の広告をある程度、出さざるを得ない。それは親会社が上にいるからこその大変さだと思います。

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