子どもに「自己肯定感」を持たせるために、親ができるシンプルなこと

近年、「自己肯定感」という言葉がよく口にされます。自分を肯定できない人は何事にも自信がなく、人生に喜びを見いだせなくなり、落ちるところまで落ちていく。日本の社会と教育のありかたにも、そういう不幸を生み出す責任の一端はあるのかもしれません。しかし私たち教育者や保護者には、子どもがそうならないよう、守ってあげられる力があります。どうすればいいのか。最終回。子どもに「強く生きる力」を持たせるヒントです。


 37歳のとき、「自分の理想とする学校」を作りたいと思い、教頭試験を受けてから20年。まだ走り続けている最中ですが、ありがたいことに今、日比谷高校で自分がやりたかった教育をある程度、実現できています。

 子どもたちの希望を叶えるために動く。学校が一丸となってサポートする。すべての教員が子どもたちの笑顔のために、〝教育的愛情〟を持って接する。私は日比谷高校の校長になって、本当によかったと思っています。

 教員が子どもに示す〝教育的愛情〟は、親子の愛情と似ていますが、ちょっと違います。

 親子の愛情が、我が子の存在を丸ごと受け入れる愛情だとしたら、教育的愛情とは、子どもの心に寄り添いながら教え導く愛情、と言えます。

 ですから、教育的愛情を持つ教員は、すべてを「いいよ、いいよ」で済ますことはしません。気になることは問いかけ、言いにくいことも指摘し、いいところは認めてあげる。保護者が与える親子の愛情と、教員が与える教育的愛情。どちらも子どもの成長には欠かせません。だからこそ私たち教員は、保護者のみなさんと常にいい関係を築いていきたいと思っているのです。

 日本の教育現場は、世界と比べると、かなり特殊な環境下にあります。

 海外の教育現場は基本的に、エキスパートの集合体で構築されています。授業は授業専門の教員、面談は面談専門の教員、部活は外部の指導員、悩み事はカウンセラー……など。

 ご存じのように日本では、授業から生活指導、部活から悩み相談まで、一人の教員がさまざまな面で子どもにかかわります。

 確かに負担は大きいですが、私はそうやってトータルに子どもたちのことを見られるのは、日本の教育の強みだと捉えています。全面的に子どもたちと関われる。だからこそ築かれる、子どもたちや保護者との信頼関係があると思うのです。

 10代のお子さんを抱えていらっしゃる保護者の方々も、多くの苦労があるでしょう。自分の子どもにどんな道を示すのが正しいのか。どんな話し合いをすればいいのか。子育ての悩みは尽きないと思います。

 私がここで保護者のみなさんにお願いすることがあるとすれば、もし子ども自身にもっとがんばりたいという気持ちがあるなら、ぜひ応援してあげてほしいということです。

 たとえば日比谷高校への進学を考えたとき、「勉強、行事、部活、どれもがんばるなんて無理なのではないか」と、親としての心配、不安が首をもたげてくるはずです。真剣に子どものことを考えるからこその気持ちだと思います。

 でも連載で述べてきたとおり、行事をがんばった子ども、部活をやり切った子どもは、その達成感と満足感を自己肯定感に変え、前向きに学習へ取り組む姿勢を持つようになります

 あるいは、「日比谷高校の校長先生は、リーダーを育てると言うけど、ウチの子はそんなタイプじゃないから」と思う方もいるかもしれません。

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学ぶ心に火をともす8つの教え

武内 彰

東大合格者数を急増させて話題となった、“かつての名門”日比谷高校。2003年には年間たったの3名にまで凋落していましたが、2016年には53名、2017年には45名を輩出しました。この「奇跡のⅤ字回復」の立役者、武内彰校長が、「自分で...もっと読む

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meglog2012 なんか引っかかる… 「 行事をがんばった子ども、部活をやり切った子どもは、その達成感と満足感を自己肯定感に変え、前向きに学習へ取り組む姿勢を持つようになります。」 https://t.co/ynil1F3BzD 1年以上前 replyretweetfavorite

marekingu #スマートニュース 2年弱前 replyretweetfavorite

hinaon 子ども自身にもっとがんばりたいという気持ちがあるなら、ぜひ応援してあげてほしい 2年弱前 replyretweetfavorite

_daisylily "でも連載で述べてきたとおり、行事をがんばった 2年弱前 replyretweetfavorite