だめなもんはだめなんだなんてだめだ
評論家や専門家の方々が繰り返し言及しているので、そんなんもう分かってるよという事実だろうが、少年犯罪は年々減っている。統計が証明している。それでもアンケートをとれば、少年犯罪は増えていると答える人が圧倒的に多い。是非とも少年少女の皆さんは、警察庁が発表している「昭和24年以降における刑法犯少年の検挙人員及び人口比の推移」あたりのグラフを出力して持ち歩いてもらいたい。最近の若者は何をしでかすか分からない、と言われる場面に年に数回は出くわすだろうから、そういう時には、そのグラフの出力紙を渡して「ちょっと急いでいるのでお先に」とその場を立ち去ると良い。
梅沢富美男の口癖は「だめなもんはだめなんだ」である。自著『正論』のオビにも大きくそう記されている。その口癖に対抗する言葉を探し出し、何とか導き出された言葉が「だめなもんはだめなんだなんて、だめだと思う」なのだが、なぜって、こういう人こそが、体感治安の悪さをいたずらに煽ったり、最近の若者を低く見積もったりするからである。梅沢は言う。かつての日本では「ジジババは、町内の治安を守ってくれていた。今の日本では、町内のつながりなんて皆無だ。隣近所の付き合もなくて当たり前」「おかしな野郎がうろつこうとも、隣の家でとんでもないことが起こってようとも、誰も気づかないし、気にもしない」(梅沢富美男『正論』)という。ジジババがもっと若者に物申せば町の治安がよくなるという。こういう時の為に、若者には少年犯罪件数のグラフを持っていて欲しい。たとえ少年犯罪についての話ではなくとも「あっ、そちらが子供だった頃はもっと多かったんですよね」という申し立ては「正論」になる。
「目上の者には、何があっても『ハイ』と言え」
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