自分を俯瞰から冷笑してくる“客観カメラ”との戦い

cakesで連載していた『ボクたちはみんな大人になれなかった』が書籍化されたばかりの燃え殻さんと、おなじくcakesで『左ききのエレン』を絶賛連載中のかっぴーさんの対談、第2回。今回は、それぞれのTwitterとの付き合い方、「人生はじまった」と思った瞬間、自分の作品に込める思いについて伺いました。

“まだ人生はじまってない感”をずっと抱えて生きてきた

— お2人とも、ネットでの評判や評価は気になるようですが、Twitterでの反応や人気は気にしていますか?

かっぴー Twitterでおもしろいと褒められたらもちろん嬉しいけど、最近は少し麻痺していて前ほどではないというか……。「うん、ぼくもそう思う」って思ってるからな。

燃え殻 そこがすごいよなあ(笑)。

かっぴー それよりも、『左ききのエレン』のメディアミックスが決まるとか、そういうことのほうが嬉しいですね。どこにやりがいを感じるかという意味では、あんまりSNSの中で起きていることには喜びを感じていないのかも。

— 一方で、燃え殻さんは長らくアルファツイッタラーとしてつぶやき続けていましたが、そのモチベーションはどこにあったんですか?

燃え殻 まあ、そこに喜びがあったと言わざるを得ないですね(笑)。だって、僕の仕事なんて欠けることこそあれ、放っといたらずっと同じ顔ぶれ。テレビのお客さんも会う人って決まってるんですよ。だから、全然違う人が生きてることを知ることができるSNSは、自分の中ですごくおもしろかった。
 でも、それ以外でもいろんな人と会える機会が少しずつ増えてきて、どこかでSNSが苦しいな、と思うことも多くなってきた。この前、単純に忙しくて2週間くらいTwitterから離れていたら、正直少し1日が楽になったというか。むやみやたらな悪意にさらされることが2週間なかっただけで、心がすごく健康になったんですよ。

かっぴー 僕もTwitterが楽しかった時期はあったけど、それは明らかに漫画を描きはじめる前なんですよね。漫画を描きはじめたら叩かれてつらくなった……という意味じゃなくて、Twitterから何かを受信しようという気がなくなったんですよ。Twitterは僕の話を発信する場所みたいになっちゃって。もともと話したがりなんで、自分の話を聞いてくれればいい、みたいなところがあるんです。

燃え殻 すごいなあ。そんなに自信を持って生きてることが、僕にはないから。

かっぴー だけど、お互い正反対のタイプってわけじゃなくて、似た部分もありますよね。年齢は違うけど、ずっと“まだ人生はじまってない感”を抱いているところにはすごく共感します。
 『左ききのエレン』にも、「はじまったら、はじまった時にわかるよ」っていうシーンがあるんですけど、「自分の人生、はじまった」ってわかる瞬間が、この物語のクライマックスなんです。僕は正直、“はじまった感”を感じたから会社やめて漫画専業にしたんですよね。だから、そこに至るまでの「なんもうまくいかねえ」みたいな感じはよくわかる。


『左ききのエレン』15話より

燃え殻 俺は、今でも「はじまってない」と思ってるから。

かっぴー なんでなんでしょうね。はじまってるじゃないですか! これまで憧れていた人たちと会って、小説を褒められてるし。もっとうぬぼれることはないの?

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人生のはじまり」って、いつだった?

かっぴー /燃え殻

cakesで連載していた『ボクたちはみんな大人になれなかった』が書籍化されたばかりの燃え殻さんと、おなじくcakesで『左ききのエレン』を絶賛連載中のかっぴーさん。2人はプライベートでも仲がよいそうですが、作家としての性格は真逆のよう...もっと読む

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コメント

_us_a “客観カメラ”に捕われてしまって迷走してることある…→ 4ヶ月前 replyretweetfavorite

nora_ito #左ききのエレン について話しました! 4ヶ月前 replyretweetfavorite