部屋に閉じこもったままの息子へ届ける母の味。
10巻・#97『ニッタとムッタ』に登場する新田家のご飯。卵焼きや野菜炒めと温かそうなメニューだが、ひきこもりの弟・カズヤの前にお盆に載せた食事を置いて去るシーンは10巻序盤の伊東家・北村家との温度差を感じる寂しいシーンだ。
ニッタとムッタ、2人の兄。
訓練の途中、突然前の場所に戻ると言い出した新田。「順位がつけられるとわかっているものなら全部トップを狙わなきゃダメだ」そう言って誰よりも順位を気にしていた新田が単独で戻ろうとする。
それがどれだけ本気なのかを感じたムッタは、食糧を見つけた後、新田と共に携帯電話を探しに進んできた道を戻っていった。
道中、新田は自分の弟・カズヤのことについて話し始める。
アマンティの占いで弟はいないと言った新田だったが、本当は一人弟がいた。けれども南波日々人と比べられるのが嫌で言い出せなかった。
ムッタと出会ったころからムッタのことをいちいち『兄』と強調していた新田。そこにあった想いは、何とかしたいけれど何もできずにいるひきこもりの弟への、兄としての複雑な感情だったのだ。
子供の頃は自分よりもずっと宇宙が好きで詳しかった弟。その弟が今ずっと部屋に引きこもっていること、それをどうにかしたいこと、その弟から今夜電話がかかってくるかもしれないこと―。
仲の良い南波兄弟が羨ましい…思いがけない新田の告白に、ムッタは新田の抱えていた想いを感じ取り、正直な気持ちを話す。
優秀すぎる弟っていうのも考えものだ、いなければいいと思うこと数知れずだ―…。
一度だけ殴り合った時の感触。互いの痛み。殴り掛かられた時に殴る価値もない、と言い放ってしまった新田は、激しく後悔した―…。
そして、昼間蛇に襲われそうになった場所で、暗闇の中チカチカと光る携帯電話を発見する。弟からの着信が確かにあった。しかし…。
タイミングを逃してしまった新田は、キャンプ地へ戻り、皆にすべてを告白した。
材料 -野菜炒め- (2人分目安)
もやし1袋/ニラ 1束/人参10~15cm /ショウガひとかけ /にんにくひとかけ/ゴマ油大さじ2/オイスターソース大さじ2~3
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