松本人志さんに見せたいインドの路地裏
丸山 こんにちは、丸山ゴンザレスです。今日は、『クレイジージャーニー』 の演出を担当されているTBSの横井雄一郎さん(※)に、ガチすぎるロケや、印象に残っている回、マジで危なかった場所……など、番組の裏話をうかがっていきたいと思います。まず、『クレイジージャーニー』がどうやって誕生したかについて教えてください。※1981年神奈川県生まれ。2004年にTBSテレビに入社。『学校へ行こう!』『リンカーン』『キ ングオブコント』『ドリームマッチ』などを担当。『クレイジージャーニー』を立ち上げ、現在は演出として番組の舵取りを担っている。
横井 新番組の企画書を出し続けてもなかなか通らず、悩んでいた時期がありました。そうしたら、上司に「お前の好きなことを一回突き詰めて、形にしてみろ」と言われたんですね。それで頭に浮かんだのが「一人旅」というテーマです。僕自身も外国の文化に魅かれて、学生時代からあちこち行ってましたから。
もうひとつ浮かんだのは、松本人志さん。松本さんも旅行は好きだけど、飛行機が苦手だと聞いたことがあって。だったら松本さんに、インドの路地裏とか、普通はテレビカメラは行かないけど、ソワソワドキドキする場所を見せたら、どんな反応が返ってくるんだろうと考えたわけです。
丸山 松本さんにバナナマンの設楽統さん、小池栄子さんと、MCの3人が豪華ですよね。
横井 予算が少ないことを番組内でもネタにしていますけど、「あの3人をキャスティングしたからお金がないんじゃないの?」とよく言われます(笑)。でも、松本さんは「この番組に出ることが社会勉強だと思ってる」と言ってくれて。出演料が多少安くても得るものがあるから、出てくれているんだと思いますね。
命よりも好きなものがあるか
丸山 ジャーニー(※出演者のこと)はどうやって選んでいるんですか?
横井 基準は「思いの強さ」と「向こう見ずなところ」。その度合いの強い方たちに出ていただいています。自分の生活や、身の安全や命よりも好きなものがあって、そのためにひた走っている人たちですね。
丸山 佐藤(健寿)さんや僕のことも以前からご存じだったんですよね。
横井 はい、佐藤さんの『奇界遺産』や、ゴンザレスさんの本も読んでました。僕が海外を一人旅するとき、もちろんジャーニーの皆さんとは違って、目的は世界遺産を見に行くことなんですけど、その道中にある路地裏や、ちょっと危なそうな人がいる場所が目に付くんですよね。「あれ、ここなんか怖そうだけど、小走りで通ってみようかな?」って。
そういう普通の観光とは違う旅をもっとしてみたいと思っていたら、本屋さんでゴンザレスさんの『アジア「罰当たり」旅行』を見つけたんです。こんな視点で旅をしている人がいるんだ! と、熱心な読者になりました。
丸山 それでお声がけいただいたんですね。
横井 ゴンザレスさんの旅には、「目的」がありますよね。その場所へ行くことが最大の目的ではなくて、そこへ行ったらこの問題について調べたい、この謎を解き明かしたいという目的がある。それがすごく大事なんだと思います。怖いもの見たさで危ない場所に行って、「どうだ、すごいだろ」と見せる映像なら、ネットでも見られますからね。
丸山 ただ「ここに行ってきました」で終わらせるのではなく、「お土産」を持ち帰ろうとは心がけています。佐藤さんともたまに話すんですけど、『ジャーニー』の取材が終わってスタッフさんが帰国した後も、できるだけ残りたいよねって。前乗りもよくしますし。探求心、好奇心が強いのかもしれないですけど、そこを横井さんに見つけてもらえてよかったです。
横井 好奇心や探求心が強いからこそ、 取材を途中で投げ出したりしない責任感も強くなるんだと思います。その点は、ジャーニーのみなさんに共通している点ですね。
次回、『クレイジージャーニー』最終回について聞いてみた!?