天然パーマの上にパーマをかける大泉洋

武田砂鉄さんの新刊『コンプレックス文化論』が文藝春秋より7月14日に発売。この世の様々なコンプレックスを考察した評論集ですが、今回はその中のテーマの1つでもある「天然パーマ」が特徴的な大泉洋を取り上げます。その髪型がトレードマークのようになっている大泉洋ですが、実は天パ界を震撼させる意外な真実があったようです。

天パ界の出世頭なのか

清々しいまでの露骨な宣伝を勝手に許すと、まもなく発売される新著『コンプレックス文化論』(文藝春秋)では、10種類ほどのコンプレックスを徹底的にほじくりだし、それらを根に持ち続ける人たちが豊かな文化を作り上げたのだ、と論証していく。考察と共にコンプレックスを抱えた表現者へのインタビューを敢行しているが、「背が低い」をテーマに話を聞いたフラワーカンパニーズ・鈴木圭介は「俺が180センチ超えていたら……まぁ、東京ドームやってんじゃないですか」と勇み、「ハゲ」について聞いた臨床心理士・矢幡洋に、なぜカツラの着脱をテレビで公開するのかと問えば、「カツラは私のツール。人様の商売道具にケチつけるな」との激烈なコメントが返ってきた。安斎肇に、かの有名な「遅刻癖」について尋ねると「遅れるほうもイライラしてる」と物議を醸す宣言が繰り出されたのだった。

その他にも「実家暮らし」「一重(ひとえ)」「下戸」「解雇」「親が金持ち」などのコンプレックスについてしつこく問うたが、本書で真っ先に議題としたのが「天然パーマ」である。そこでは当然、大泉洋の存在が象徴的に持ち出される。彼自身、出世番組となった『水曜どうでしょう』を、「オッサン4人が(中略)夜にはしこたま酒を飲み、酔った〝ヒゲ〟と天パが裸で相撲を取る」(大泉洋『大泉エッセイ』)番組と解説したように、自身の天パをアイデンティティとしてきた。だがしかし、その大泉が「天パ界のレジェンド」として君臨しているわけではない。彼が、実は「天パの上にパーマをかけている」という事実を公言したことによって、静かな内紛が勃発しているのである。

「でもほとんどが天然パーマなんです」

本の中では、自身の天然パーマを愚直に守り続けるミュージシャン、おとぎ話・有馬和樹に話を聞いたが、彼に大泉の「天パの上にパーマ」の事実を伝えると「……ショックです」と絶句した上で、天パをストレートにする縮毛矯正は決断として理解できるが、天パにパーマは理解できないと慎重に言葉を選んだ。大泉が「天パにパーマ」を公言したのは『笑っていいとも!』(2005年3月29日)の「テレフォンショッキング」でのこと。「これは天然パーマなんです。天然パーマ、プラス、パーマなんです。でもほとんどが天然パーマなんです」と笑いをとったのだ。

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ワダアキ考 〜テレビの中のわだかまり〜

武田砂鉄

365日四六時中休むことなく流れ続けているテレビ。あまりにも日常に入り込みすぎて、さも当たり前のようになってしったテレビの世界。でも、ふとした瞬間に感じる違和感、「これって本当に当たり前なんだっけ?」。その違和感を問いただすのが今回ス...もっと読む

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コメント

ff14angryhungry 武田砂鉄さんのコラムやっぱおもしろい…w 大泉洋の回は、いつの間にか軸がズレてく系のシュール着地だった。 【 】 https://t.co/ToOui1xAm5 2年弱前 replyretweetfavorite

kruchoro 天然パーマの上にさらにパーマかけるってめっちゃクールだなぁ。天然パーマじゃない僕にはできない超高高級の芸当だ。 約2年前 replyretweetfavorite

marekingu #スマートニュース 約2年前 replyretweetfavorite

bunshun_senden 新刊『コンプレックス文化論』が刊行される武田砂鉄さんの連載コラムです。大泉洋さんの 約2年前 replyretweetfavorite