第15回 母 【あるキモい男の出自 ③】

人間の性体験の原点は、幼少期や家庭環境にあり。痴女AVの生みの親であるAV監督の二村ヒトシさんが綴る同連載。「自分の性的趣向を決定づけたのは自分の家庭環境」と語ってやまない二村さんですが、今回のテーマは、二村さんのお母さん・フミエさんについて。美人で頭が良く、当時まだ珍しかった女医という肩書きも持っていたというパーフェクトなお母さんだったそうですが……。

前々回に登場させてしまった僕の母・フミエについて、もうちょっと書く。

母は昭和3年に大阪で生まれた。母の母は芸者をしていたという。

母の父・キチジは東京の人間で、板前をしていたが、東京に住めなくなるような事をしでかしたのか大阪に移る。そしてその地で料理人としてというよりアイデアマンとして成功した。フミエの誕生前すなわち大正末期から昭和初期、関西人にとって、まぐろは鍋で煮て喰うものだった。そんな時代にキチジは大阪で、まぐろの握りを名物とした江戸前寿司店を始めたところ珍しかったため繁盛したのだという。

「ほうき」というのがフミエの母・ソノが当時のキチジにつけたアダ名だったという。掃除に使うほうきである。ほうきを使ってサッサッと掃くと部屋のゴミやホコリが集まるように、キチジが夜の大阪の街をサッサッと歩くと女たちが集まってくるというのである。なかなか粋なアダ名だが、フミエの母すなわちキチジの妻は「ゴミやホコリのような女たちが……」と言いたかったのかもしれない。

キチジは、ほうきであるだけでなくチリトリも兼ねていた。集まってくる女たちを連れて、どこかへ行ってしまって家には帰ってこないのだという。朝になると帰ってくる。

そのうちキチジは死んでしまった。お金は、あまり残っていない。ソノとまだ幼いフミエは、母一人娘一人。

ソノは芸者に戻って働いてフミエを育てたのだろうか? ヒトシはフミエから祖父キチジの話はよく聞いたが、祖母の話はあまり聞かなかった。

フミエは後にヒトシに「あたしのお父さんはカッコいい人だった」と語った。

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キモい男、ウザい女。

二村ヒトシ

アダルトビデオ監督・二村ヒトシさんが、男女の関係性を探り、自分自身を語っていく連載です。現代の日本に生きる私たちほぼ全員が「キモチワルい男」であり「めんどくさい女」であるという、恐ろしすぎる【見立て】からはじまるこのお話。なぜ現代の恋...もっと読む

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コメント

nimurahitoshi 雨は降りそうで降らないが、みなさん、俺の母親の話など読んでみてはどうでしょう…【4月6日 15:38まで無料 】 https://t.co/c1xO5MHURA 5年弱前 replyretweetfavorite

larcfortdunord これは面白い。二村さん普通の庶民の生まれではないと思っていたけれど医者の家の生まれだったんだなw 5年弱前 replyretweetfavorite

nijuusannmiri フミエさんの話、面白いのでもっと読みたい。 / “1685” http://t.co/e18Db1moQF 5年弱前 replyretweetfavorite

sadaaki 二村さんのお母さんのお話。すごいかっこいいんですけど! 5年弱前 replyretweetfavorite