最初にビットコインの世界に入ってきたのは、FXと同じようにビットコイン投資をする人たちです。安く買って高く売れば、その差額が儲けになるのは、どんな投資でも同じです。短期間でビットコイン価格が上がり、効率よく儲かるとなれば、利に聡さとい人たちがどんどん集まってきます。
入り口としては「儲かる新しい投資先」というイメージが先行していたかもしれませんが、ビットコインを実際に使う人が増えてくると、なかには、これでお金を送ってみよう、買い物してみようとトライする人が出てきます。デジタルなお金、バーチャルなお金といっても、別に消えてなくなるわけではないし、怖くない。それどころか、実はけっこう便利だという認識が広がってきました。
日本の場合は銀行振込が一般的で、全国津々浦々までコンビニATM網が広がっているので、仮想通貨を使わなければならない場面はなかなか想像できないかもしれません。しかし、ちょっとしたお金を送るのにも銀行の窓口で何時間も待たされ、書類をたくさん提出しなければならず、しかも資金移動の上限が決められているような国では、ビットコインはある種の「福音」として広く大衆に受け入れられる余地があります。
中国でビットコインが人気な理由
ビットコインで送るのに適した金額は、人により、状況によって異なります。
たとえば、私たちが運営している取引所には、中国や台湾の人たちから日本の不動産を買いたいという問い合わせがけっこうあります。東京に土地を持っていればステータスにもなるし、都心のマンションを買ってエアビーアンドビー(Airbnb)のような民泊サービスに提供すれば儲かるということもあるでしょう。2020年の東京オリンピックに向けて宿泊施設の需要が高まるのは確実なので、投資対象として、日本の不動産に熱い視線が注がれています。
中国の人民元は外国への持ち出しに制限があり、台湾からの送金手数料もバカにならないので、あいだにビットコインをかませて購入資金を送るケースが出てきています。ビットコインの取引高で人民元が圧倒的なシェアを占めるのは、資金移動に制限があるため、外国と取引するには仮想通貨を使わざるを得ないという理由もあるのです。
日本人が海外送金する場面
では、日本人の私たちが「海外送金」をするとしたら、どんな場面が考えられるでしょうか。
まず考えられるのは、事業資金の移動です。外国企業と取引している企業なら、どこでも発生するニーズです。
個人レベルだと、海外のオンラインサイトから直接商品を取り寄せる個人輸入や海外投資、海外に留学している子どもへの仕送り、海外赴任先から日本への仕送りなどが考えられます。旅行先で現金を盗まれたときに、当座のお金を送ってもらうこともあるかもしれません。
ここでは、それ以外の利用法を二つ紹介します。
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