ビットコインは「仮想通貨」や「暗号通貨」の一つといわれています。ただ、そうしたくくり方は、ビットコインが持つ一面を表すにすぎません。
ビットコインは、アナログの現金とは異なる「デジタル通貨」であり、特定の国に属さず、世界中で通用する「国際通貨」でもあり、誰かが一元管理するのではなく、世界中の人たちの手で運用される「分散型通貨」でもあります。
それぞれどんな意味なのでしょうか。現金や預金との違いを明らかにしながら説明してみましょう。
ビットコインは実体を持たない「バーチャルなお金」
現金と聞いて最初に思い浮かぶのは、福沢諭吉の一万円札や、百円玉や五百円玉などでしょうか。日本の「円」や米国の「ドル」は、リアルな紙幣やコインとして手で触ることができ、財布に入れて持ち運ぶこともできます。
一方、「仮想通貨」であるビットコインは、実体を持たないバーチャルなお金なので、手で触ることはできません。しかし、「ウォレット」と呼ばれる専用の財布に入れて持ち歩くことができます。実は「ウォレット」もバーチャルな財布なのですが、スマホやパソコンに「ウォレット」のアプリを入れておけば、いつでもどこでも使うことができます。
スマホを紛失すると「ウォレット」ごと盗まれる可能性もゼロとはいえませんが、今は指紋などの生体認証付きのスマホが主流です。また、紛失したときに、スマホのデータを消去できる仕組みもあるので、現金入りの財布を持ち歩くより安全といえるかもしれません。
ちなみに、ビットコインそのものはスマホにダウンロードされているわけではなく、クラウド上に保管してあるので、スマホのデータを完全に消去しても、ビットコインが失われる心配はありません。別のスマホやパソコンからログインし直せば、ちゃんと残っているから大丈夫です。
ビットコインは持ち運び自由の「電子データ」
現金は、銀行に預けることもできます。みなさんが銀行に預けた現金は、一万円札や千円札のまま銀行の金庫に保管されているわけではなく、他の人に貸し出されたり、運用に回されたりして、リアルタイムで姿を変えていきます。そう考えると、預金通帳に記載された金額は帳簿上の数字、つまり電子データにすぎないわけです。
銀行預金は自由に引き出すことができます。ATMで引き出してはじめて、電子データはリアルな現金に姿を変えます。その意味で、銀行預金は、現金というよりも、デジタル通貨に近いものがあります。
「Suica」や「nanaco」などの電子マネーの普及によって、現金を持たない主義の人も増えています。小銭がジャラジャラあると財布が膨らんでかさばるし、札束を持ち歩くのも物騒だと考える人もいるからです。
「デジタル通貨」でもあるビットコインは、電子データにすぎないので、どれだけ金額が大きくなっても、逆にいくら細かい金額に分けても、手間は同じで、かさばる心配もありません。1円単位の支払いから、財力がある人なら数百、数千万円単位の支払いまで、すべて同じ「ウォレット」を通じて行うことができます。
ただし、ビットコインをそのまま一般の銀行に預けることはできません。先ほどもいいましたが、みなさんが手に入れたビットコインは、自分のスマホやパソコンにダウンロードされるわけではなく、取引所が用意したクラウド上に預けっぱなしになっています。
株を買っても株券の現物をもらうわけではなく、証券会社に預けたまま、売買の指示を出して実際の取引を代行してもらうように(現在はデジタル化されて現物の株券そのものが希少ですが)、ビットコインの取引でも、みなさんはアプリで指示を出すだけです。実際の送金は、ビットコイン取引所などが行います。
ビットコインは特定の国に属さない「国際通貨」
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