女が男を選ぶとき、心に何を想うのか?

小豆島の旅もクライマックス。思いがけないハプニングの連続だった3日間もようやく終わりに近づいてきた。たんぽぽの羽のように風にまかせて飛んできた百鳥ユウカさんの運命がついに、結着する。


「……そんなもんですか?」

「そんなもんや」

百鳥ユウカは、警官の山本の妻、和子の話を縁側で聞いていた。

「さぁさぁ、もうええやろ。ウチの馴れ初め話は……」

和子は、立ち上がって居間の奥へと下がっていった。奥では確か山本が寝ているはずだ。和子が山本を起こしている声がする。

「ふぁぁ、もうこんな時間か。外は真っ暗やないか」

奥から山本の声だけがする。

「百鳥さ〜ん、どないするんや? 別荘まで送っていくか?」

おそらくまだ寝床にいる山本からユウカに声が飛んだ。すると、和子が山本にいう。

「真っ暗でバイク運転するのは危ないやろ。あの子は今日泊めたったら?」

「ほんまか、ちょっと厄介な娘やぞ……」

「ちょっと疳(かん)が強いだけやろ。根は優しい子やない」

「ほうか……」

「それじゃ、うちは夕飯の支度するから、あんたは風呂でも入ってきんさい」

夫婦間の話し合いはあっさりこれで終わったらしく、ユウカは山本の家に今夜は泊まることになった。ユウカにも異論はない。そもそも別荘に帰る足もないのだから仕方ない。とはいえ、ユウカは和子の立ち居振る舞いに惹かれるところがあり、一晩一緒にいられるのは嬉しかった。ユウカは、アキといい和子といい、強い自分を持っている女性が好きなのだ。それは自分に足りない部分だと思うから。ユウカは男に厳しくて我儘ばかりいう印象があるけれど、それは内面の強さからではなく、内面の弱さから出ている。いつも正解を求めていて、誰か全部を許してくれる存在を探している。

ここまで読んでくれた読者はわかると思うけど、ユウカは自分の中に答えがないから、いつまでも正解を追い求めることができて、妥協ができない。心が納得する答えを求めているから、いつまでも正解にたどり着くことができない。すごく逆説的だけど、それが本当のところだと思う。

アキや和子は自分の頭で考えて答えを見つけることができるけど、ユウカにはそれができない。だから、男を試すような真似をいつまでも繰り返す。

この時点でのユウカも、薄々それに気づいていた。

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結婚できない2.0〜百鳥ユウカの婚活日記〜

菅沙絵

友人たちが彼女につけたあだ名は「レジェンド・ユウカ」。結婚市場に残された最後の掘り出し物という意味だと説明されたが、たぶん揶揄する意味もある。妥協を知らない彼女が最後にどんな男と結婚をするのか、既婚の友人たちは全員興味深げにユウカさん...もっと読む

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sapporo255 https://t.co/sLi4bUeFf3 高畑嘘つき。 もしそう思うなら、君はここにいないんだよ。GPSなんて放り込むかい。 3年以上前 replyretweetfavorite