藤田貴大
にわかに増えつつある、ショートカットたちよ。
-髪を切る最高に刺激的な理由–
【第10回】女子が髪を切りたくなる地雷(?)を巡り、演劇作家の妄想は止まらない。それは、悪い癖なのか。今まで見えなかったうなじが急に見えるようになったら、誰だって気になるはず! それが、身近にいる女優だったら、なおさら。というわけで、意を決して訊いてみたところ・・・。
まわりに、にわかに、ショートカットの女子が増えつつあるような気がする。しかもそれなりにロングヘアーだった女子がだ。ばっさりと、結果だけみればなんの 躊躇(ちゅうちょ)もなかったみたいにして、ばっさりと。切り落とされてしまったときに、女子はな にを想うのか。髪型をがらりと変えるときは、たとえば恋に破れたとか、そういう。 なにか彼女にとって、決定的ななにかがあったとき。みたいなそういうのは、あんまりぼくは信じられない。というか、いちいち髪を切ったからといって、そういうふうに繫げてかんがえたくないし、たぶん「なんとなく」切ったまでなのに、具体的な想像力を膨らませてこじつけたくはない。だがしかし、だ。だがしかし、やっぱり回りまわって、なにか・・・なにかあったはず・・・と想像してしまうのは、悪い癖だとわかっていつつも。なにかなくたって、なにかあったはず。
cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。
16755
false
この連載について
藤田貴大
演劇界のみならず、さまざまなカルチャーシーンで注目を集める演劇作家・藤田貴大が、“おんなのこ”を追いかけて、悶々とする20代までの日常をお蔵出し!「これ、(書いて)大丈夫なんですか?」という女子がいる一方で、「透きとおった変態性と切な...もっと読む
著者プロフィール
1985年生まれ、北海道出身。桜美林大学文学部総合文化学科にて演劇を専攻、2007年に『スープも枯れた』でマームとジプシーを旗揚げ。2011年に発表した三連作『かえりの合図、まってた食卓、そこ、きっと、しおふる世界。』で第56回岸田國士戯曲賞を受賞。2013年『てんとてんを、むすぶせん。からなる、立体。そのなかに、つまっている、いくつもの。ことなった、世界。および、ひかりについて。』で初の海外公演。さまざまな分野のアーティストとの共作を意欲的に行うと同時に、中高生たちとのプロジェクトも積極的に行っている。主な演劇作品は『あ、ストレンジャー』『cocoon』『書を捨てよ町へ出よう』『小指の思い出』『ロミオとジュリエット』『sheep sleep sharp』など。著書に『おんなのこはもりのなか』『Kと真夜中のほとりで』がある。