渋谷音楽図鑑

重なり合う都市型ポップスの系譜

『渋谷音楽図鑑』(著=牧村憲一・藤井丈司・柴那典/太田出版)第5章「渋谷系へ」の「cakes」特別公開も最終回! 長らくのご愛読ありがとうございました! フリッパーズ・ギターから渋谷系、さらに2027年の渋谷へと続く道。そこから遡る、はっぴいえんど、シュガー・ベイブ、山下達郎、大貫妙子、竹内まりや……などの「都市型ポップスの系譜」については、是非とも『渋谷音楽図鑑』でお楽しみください!!

重なり合う都市型ポップスの系譜

「渋谷系」というのは90年代に起こり、そして時代と共に終わっていったひとつのムーブメントでした。ただ、僕らが作り上げた音楽の中には、単なる一過性のブームでは終わらせない、本質的な価値観がありました。

 それが渋谷から生まれる「都市型ポップス」というものの一つのエッセンスになっているのです。ここまで語ってきたように、渋谷という街には、その時代、その時代で、常に同時代の洋楽に憧れを持ち、そこにアプローチし、そのエッセンスを研究し、実践するミュージシャンがいた。彼らが独自の日本語のポップスを生み出し、それらが系譜となって連なってきた。

 僕はそこで常に人と人を結びつけるハブのような役割を誰かに背負わされたのかもしれない、と今は思います。

 90年、フリッパーズ・ギターがデビューして少しずつ評価を高めていた頃に、加藤和彦から久しぶりに連絡がありました。「フリッパーズ・ギターをやってるの、牧村くんだよね。アルバムを聴いたんだけど、すごくいいね。次のアルバムをプロデュースしたいんだけれど」と言う。

 そして大滝詠一は、90年代になってリリースされた『NIAGARA CM SPECIAL』の曲解説の中で僕の肩書きを「シュガー・ベイブのマネージャー」から「フリッパーズ・ギターのディレクター」へと変えていました。それは、かつて自分がやっていた方法論と同じことをしている若い世代の存在を認めているという彼なりのメッセージだと僕は感じました。加藤和彦と大滝詠一という、自分にとってエポックメイキングな出会いをした重要な人物のふたりがフリッパーズにリアクションを示したというのは、自分にとっても嬉しい事実でした。

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渋谷音楽図鑑

牧村 憲一,藤井 丈司,柴 那典
太田出版
2017-07-05

この連載について

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渋谷音楽図鑑

牧村憲一 /藤井丈司 /柴那典

シュガー・ベイブ、山下達郎、大貫妙子、竹内まりや、加藤和彦などの制作・宣伝を担当、80年代後半からはフリッパーズ・ギターをプロデュース。解散後は「トラットリア」を設立――。そんな音楽プロデューサー牧村憲一さんが「渋谷」で出会った音楽、...もっと読む

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コメント

moo1231m |渋谷音楽図鑑|牧村憲一/藤井丈司/柴那典|cakes(ケイクス) https://t.co/8WrNE0KFRr 約3年前 replyretweetfavorite

shiba710 “「渋谷系」というのは90年代に起こり、そして時代と共に終わっていったひとつのムーブメントでした。ただ、僕らが作り上げた音楽の中には、単なる一過性のブームでは終わらせない、本質的な価値観がありました” 約3年前 replyretweetfavorite