渋谷音楽図鑑

トラットリアと渋谷系の時代

『渋谷音楽図鑑』(太田出版)第5章の特別公開も残すところ2回。小山田圭吾(コーネリアス)、カヒミ・カリィ、カジ・ヒデキ(ブリッジ)などを擁したトラットリアは、遊び心で時代を席巻。それは「渋谷系」と呼ばれる一大ムーブメントとなった――。

トラットリアの遊び心

 93年、トラットリアはレーベルとして本格的に動き出していました。それ以降、僕が作品の制作に関与することは徐々に減っていきました。「渋谷系」という言葉を耳にするようになったのはこの頃のことです。

 トラットリアは櫻木景も含めて、若い人たちがいいと思ってるものをやればいい。僕はその結果に責任を持てばいい。5年間も苦楽を共にしているわけだから、どういうことをやれば面白いか、そのセンスも完全に吸収している。そう考えたわけです。僕の立場は「エグゼクティブ・プロデューサー」になっていきました。櫻木景の仕業で、ある年度からは「プレジデント・プロデューサー」というクレジットになっているはずです。

 トラットリアは、とにかく遊び感覚のあるレーベルでした。

 レーベルの看板はコーネリアスとカヒミ・カリィ。彼らの仲間だったブリッジも所属していた。それだけでなく、海外のアーティストもリリースしていました。「トラットリア・ファミリー・クラブ」という名前で廃盤を再発したりもしていた。冗談交じりで「デス渋谷系」なんてカテゴリーを作って、中原昌也がやっていたノイズユニットの暴力温泉芸者をリリースもした。ひとつのレーベルの中で遊べるだけ遊んでいた。しかもレコードだけじゃなく、Tシャツやカレンダーも出していた。

 94年にはムッシュかまやつのアルバム『Gauloise』もトラットリアからリリースしました。

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渋谷系へと続く、いまも終わらない「夏休み」の記録

渋谷音楽図鑑

牧村 憲一,藤井 丈司,柴 那典
太田出版
2017-07-05

この連載について

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渋谷音楽図鑑

牧村憲一 /藤井丈司 /柴那典

シュガー・ベイブ、山下達郎、大貫妙子、竹内まりや、加藤和彦などの制作・宣伝を担当、80年代後半からはフリッパーズ・ギターをプロデュース。解散後は「トラットリア」を設立――。そんな音楽プロデューサー牧村憲一さんが「渋谷」で出会った音楽、...もっと読む

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コメント

marekingu #スマートニュース 約2ヶ月前 replyretweetfavorite

megamurara このジャケット達が眠っていた記憶を呼び覚ましました。 約2ヶ月前 replyretweetfavorite