タイムマシンがあったら未来に行きますか、それとも過去に行きますか。その理由は何ですか。
最近中学生向けの作文の教材でそんな設問を見かけて、つい真面目に考えてしまいました。どう考えても私は「過去」です。それも十九世紀初頭、文化・文政年間の江戸に行って、当時の海苔を食べたい。昔の海苔は今より香り高かったとか、もっと薄くて破れやすかったとか、東京湾で穫れた海苔は「本場もの」と呼ばれて他の「場違い」とは区別されていたとか、そんな話を聞いて何度ムラムラしたことか。一度でいいから、いや、できることなら二度三度、ありし日の江戸前の海苔を鼻に押し当ててみたいのです。
第十回・海苔
2013年4月4日
今年もらった誕生日プレゼントは燻製卵、塩、塩クッキー、日本酒、茶葉……そんな佐藤和歌子がお届けするショートコラムです。黒胡椒で味付けしたおつまみ海苔もその一つ。自分の好みをよく理解してくれる友人がいるって、ありがたいですね。