レスポンスが欲しい生き物
今回のテーマは「話は聞いてもらいたいが、あれこれ言われるのは嫌」だ。
まず、辺りを見回してほしい、壁とか玄武岩とか、何かしら無機物があるだろう。もし有機物の壁しかないという場合は、そこはクジラの胃の中とかだと思うので、話を聞いてもらいたいとか言う前にそこから脱出を試みてほしい。
次に、その壁や玄武岩に言いたいことを言ってみよう、何か返事が返ってきたり、途中で話をさえぎったりしてきただろうか。してきたとしたら、耳鼻科か心療内科、いずれかの門を叩(たた)くといいだろう。
このように、我々は、太古の昔より話を黙って聞いてくれる上、あれこれ言わないクールな物体に囲まれているのだ。それにもかかわらず何故、黙って聞かないどころかあれこれ言う可能性があるブヨブヨした物体に話しかけてしまうのだろう。
つまり人は話したいことを話すだけでは物足りないのだ、レスポンスが欲しいのである。それも肯定のレスだ。
たまに「ダメ出しされたい」とか「辛口でお願いします」などと言う奴がいるが、それは「自分の想定内のダメ出しをされたい」という意味であり、言われて「やっぱりね」と思いたいだけであり「その前にお前は口が臭い」とか「ところで今日の服はサバンナモンキーのキンタマの色意識してる?」等、別方向から斬られると、あとはずっと、メロンソーダをブクブクやりながら、おむずかりである。
私などは、平素ほとんど人と喋(しゃべ)らないし、1日48時間やっているTwitterでも、人にリプライはほとんどしないし、来たリプライに返事をすることさえ稀(まれ)だ、つまりほぼ独り言、壁に話しかけているのと大差ない状況であり、あまりレスポンスにこだわっていないように見えるかもしれない。
しかし「RT」と「ふぁぼ」の数には人一倍敏感なのである。
「この前このキャラを描いてアップしたときは500RT行ったのに今回は全然伸びねえ、何故だ」とか本気で悩んだり「別に好きというわけではないが、このキャラを描いた方が伸びるかも」等斜め下の方向に行ってしまったりしているのだ。
ただ「人に話を聞いてもらいたい」と言っている奴より、よほど深い病(ビョウ)である。