人間は誰しも心に小さな渦を持っている

百鳥ユウカが激怒して、車に置いていった男2人。池崎と高畑の2人はレンタカーを返す寸前に、これからの行き先を話し合う。この2人は、ふたたびユウカさんと会うことはできるのでしょうか?

池崎と高畑はエンジェルロードから土庄港近くのレンタカー店前まで戻ってきていた。もちろん、車を返す予定で戻ってきたはずだったが、戸惑いながら池崎が高畑に訊ねた。

「これからどうしますか?」

「車返すんじゃないのかい?」

「……でも車返しちゃったらユウカさん探せないですよね。まだ小豆島にいるかもしれないのに、このまま帰る気にはやっぱりなれません」

「……うん、まあわかるよ。でもユウカさんは怒って出て行ったわけだし、さっきのメールにも返信がないということは、もうフェリーに乗って帰ったんじゃないかな」

さっきのメールとは、仲直りのシルシとして男2人で撮ったツーショット写真をユウカに送ったことだ。

「そうですね。でも、このまま本州で再会したとしても、どの面下げて会ったらいいか、わかりませんよ」

「君はね。彼女を責めたのは君だから、ユウカさんが怒ってる相手は君だろう??」

「そんなことありませんよ! 勝手に僕のせいにしないでください。やっぱり車で引き返します。まだフェリーに乗ってないかもしれない。高畑さんはここで降りて、本州に帰ってもいいですよ」

「……僕はもともと今夜も小豆島に泊まろうかと思っていたんだ。……だからいいよ」

「……目的地、どこに設定しますか?」

「彼女は反対車線のパトカーに乗って行ったんだろう? じゃあ、福田か坂手港じゃないか? でも、彼女の性格からいって、もうフェリーに乗ってさっさと帰ってるかもしれないよ」

「彼女の性格……なんて、まるでよく知ってるみたいじゃないですか」

「怒ったのも一瞬だっただろう。山の天気と同じくらい、女性の気持ちは変わりやすい。彼女の性格なら、勢いよく飛び出したのはいいけど、たぶん、後悔してると思うんだ。正確にいうと、彼女は怒ってはいるけど、許すこともできずモヤモヤしてる」

「じゃあ、ひょっとしたら、僕らが来るのを待ってるかもしれない可能性も?」

「だから、気持ちは変わりやすいって言っただろう。待っていたとしても池崎くんのことじゃない。高畑のことさ」

……池崎は黙って福田港とカーナビに入力した。

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結婚できない2.0〜百鳥ユウカの婚活日記〜

菅沙絵

友人たちが彼女につけたあだ名は「レジェンド・ユウカ」。結婚市場に残された最後の掘り出し物という意味だと説明されたが、たぶん揶揄する意味もある。妥協を知らない彼女が最後にどんな男と結婚をするのか、既婚の友人たちは全員興味深げにユウカさん...もっと読む

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sapporo255 https://t.co/svWI18FVpi 好きになるということは、その人の渦に入ってもいいと思えること。 これは同意するが、 相手の女性の気づかぬ間にGPSを持ち物に入れるのはストーカーです。犯罪じゃないかな。 3年以上前 replyretweetfavorite