充血した目に、点眼。したい。
-クソ野郎はぼくひとり-

【第9回】なぜ、その女優のそこまで支配したがる? 不測の事態だというのに、嬉々として事に当たる、演劇作家の知られざる生態を自ら独白!

移動中のバスのなかで、ぼくの作品によく出演している女優の吉田聡子の目がとても充血してしまった。眼球もそうだが、まぶたまでほんのり赤い。彼女曰(いわ)く、こんなに充血したのは初めて、とのこと。周りは、さとこだいじょうぶ?と心配するが。ぼくはといえば、聡子には申し訳ないが、しばらくそのままでもぜんぜん。ぼく的にはかまわないよ。むしろまだその充血した目を眺めていたいよ。収まらないで、血管。まだまだ目のなかで、どくどくしていてください。と、こころのなかで懇願するのだった。ある意味、新鮮さがあったのだろう、興奮していた。もともとそんなに目がおおきく見えたり、くっきりしていたりとか、そういう派手さはない一重まぶたの聡子の目は。もちろんだけれど、充血しなくたってとても好きで。でもそんないつもの、バスに乗る前はなんの変哲もなかった聡子の目が、バスから降りたら急に赤い。赤すぎる。意外なところから切り込んでこられて、不意を突かれた。

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