仕事はけっこう好き。
忙しいけど毎日がんばっている。
プライベートな時間は少ないけれど仕方がない。
おひとり様の自由さは捨てがたい。
グチを言い合える女友達も何人かいる。
けれど、
「あれ? しばらく恋をしていない」
そんな女性が増えています。あなたはどうでしょう?
仕事にだんだん慣れてきた頃から、
「合コン? もういいよ」
「出会いのチャンスは少ないけど、きっとそのうち……」
「面倒くさい恋愛はしたくない」
「いいな、と思う人は既婚者ばっかりだし……」
気がつけば、
「あれ? 恋愛ってどんな感じだっけ……」
なんてことになっていないでしょうか?
「でも、やっぱり結婚したい〜」
「恋人」「恋愛」「結婚」。これらの言葉にどれほど多くの人が振り回されてきたでしょう。
恋愛や結婚のあり方は時代によって変化してきましたが、それでもほとんどの人は「素敵なパートナーと巡り合って一生に一度は結婚したい」「幸せな家庭を築きたい」と願っています。
幸せのカタチも変わってきました。早く結婚することが幸せとは言えない、独身で気ままに生きる幸せがあってもいい、仕事に賭ける生き方もあっていい。恋愛や結婚の相手が同性であってもいい、「結婚」というカタチにとらわれないほうが幸せだ。
特に女性は時代とともに選択肢が大きく広がりました。
選択肢が広がるのはとてもいいことですが、同時に「選択肢が増える」ということは、迷いが増えることでもあり、選択が難しい時代になったとも言えます。
ひと昔前なら、親がすすめるお見合い相手と結婚するのが幸せ、とほとんどの人が信じていました。少し時代が進んでも「女性は高校か短大を卒業後、しばらく社会勉強のために仕事をして、それから寿退社」が、「普通の幸せ」でした。実際、そうして結婚し、家庭に入る女性が多かったのです。
しかし、もはやそれが当然の時代ではなくなりました。
仕事も、恋も、結婚も、子どもも、と願うのは贅ぜい沢たくなのかもしれない。何かを選択するなら、結局何かを犠牲にしなければならない、と考える女性も多いでしょう。
「当たり前」ではなくなってきた「結婚」というゴール
近年の実際のデータを見てみましょう。さまざまな調査がありますが、いずれの調査結果を見ても、もはや結婚は当たり前でも、必然でもなくなってきています。
国立社会保障・人口問題研究所「人口統計資料集」(2012)によると、男女の「生涯未婚率」(50歳の時点で結婚経験のない人の割合)は、1920〜1960年まで驚くほど低くなっています。1920年代の未婚率は男女ともにわずか2%ほど。98%の男女は生涯に誰かと一度は結婚した、ということです。この数字は、1960年まではあまり変化がありません。しかし徐々に増加し、1990年になると男女ともに5%前後になります。それ以降、未婚率は急激に増えて、2010年には男性の生涯未婚率は20.1%、女性は10.6%。女性は5倍、男性は10倍にも「一度も結婚していない」人が増えているのです。
また2014年の初婚平均年齢は男性が31.1歳、女性が29.4歳で、1950年と比較すると男女ともに5歳ぐらい高くなっています。
日本人の男女ともに、未婚化、晩婚化は進行しているということです。
未婚化、晩婚化の大きな要因のひとつが「経済的な理由」です。これは2014年の内閣府の調査ですが、特に若い世代で未婚・晩婚が増えている理由として挙げられた項目の2位は「経済的な余裕がない」。これは1位の「独身の自由や気楽さを失いたくない」の次に多い。男性に限ると1位です。3位は「結婚の必要性を感じていない」、4位が「異性と知り合う(出会う)機会がない」となっています。
男性は年収が上がると結婚率も上がる
20代と30代、それぞれどの年収層でもっとも「結婚していない女性」が多いかを見てみると、20代では年収300〜400万円、30代だと300〜400万および600万円以上の層の独身率が高くなっています。
男性の場合は20代、30代ともに年収が300万円未満の場合、結婚しているのはそれぞれ8.7%、9.3%です。男性の場合はどちらの世代もだいたい年収が高くなるとともに既婚率が高くなっていくのですが、女性の場合はかなり違いがあることがわかります。
20代では300万円未満で25%が結婚し、その後300〜400万円の層がもっとも既婚率が落ち込みます。400万円を超えると少しずつ増えていきます。
この統計からはっきりしているのは、
・男性の場合は年収が300万円未満だと結婚できる確率がかなり低い。
・女性の場合は年収が400万円前後まで増えてきたとき結婚できる確率が下がる。
ということです。
男性の場合、年収に比例して結婚率が上がるというのは、理解できます。男性として家族を養わなければならない「結婚」を決意するには、それに見合う収入が大切になってきます。また、女性としても将来をともに過ごす男性を選ぶにあたって、「収入だけが決め手ではない」としても、「できるなら高収入の男性のほうが望ましい」と思うのは当然だからです。
一方で女性のほうは、この調査から見ると年収が300万未満のうちに20代で結婚相手を探すほうが「結婚できる確率は高い」ということになります。
この結果だけ見ると、なんだか女性は一生懸命仕事をがんばって収入も増え、年収が400万円前後になると結婚できなくなってしまう傾向がある、というなんとも悲しい事実が判明してしまったように思えます。
ただ、「年収400万円の壁」を超えると、ふたたび女性の結婚率も少しずつ伸びていきます。
この現象をどう捉えればいいのでしょうか。たしかに年収が低くて、とてもひとりでは自活できない場合に「どうしても結婚しよう」と意欲を燃やすために結婚率が高くなる、あるいは調査時点ですでに結婚していたためにすでに仕事をやめていて年収が低い、という人も含まれているわけですから、「年収の低い人が結婚している確率が高い」ことは理解できます。
ところが400万円の壁の部分で、結婚している人が減り、そこを超えてさらに年収が増えるとふたたび結婚率が上がっているのです。
男性の場合は年収が少ないうちは経済的理由で結婚できない、あるいは余裕がなくて結婚に踏み切れない、だから年収が少ないうちは結婚率が低く、年収が高くなるにつれて結婚率も高くなっていくことは容易に推測できます。また、女性側の「結婚相手に高収入を求める」、という事情もあるでしょう。仕事に慣れて内容も充実し年収も高くなったことが、結婚にもつながっているのだろうと考えられます。