親に対するお金の使い方
子どもの頃、お正月にお年玉をもらうのがとても楽しみだった。
お小遣いとは違って、白いお年玉袋に入ったお金は、子ども心に何か特別な意味を持っているような気がしたものだ。
大人になって、今はお年玉を両親に渡しているという人も多いことだろう。
年に一度、親に感謝の気持ちを伝えるのは、とても素敵なことだと思う。
私は、長い間、両親との確執があった。
いちばん大切な身内でありながら、一時期は、世の中でいちばん遠い存在のように感じていたくらいだ。
原因は、両親が営んでいた保険代理店を私が継ぐことになってから、その経営方針について、意見が分かれたことにある。
古いやり方を頑(かたく)なに守り抜こうとする両親と、新しいやり方を取り入れなければ、先はないと主張する私。
会社でよく起こりがちな新旧交代劇は、たとえ家族であっても、対立は避けられないものだった。
話し合いでは埒(らち)があかないことを知った私は、父や母の反対を押し切って、会社を強引に新体制にしてしまった。
両親は怒りをあらわにし、何年も私を許してはくれなかった。
私は、自分の選択は決して間違っていないという確信を持っていたが、それだけに両親がいつまでも自分を認めてくれないことに、とても心を痛めた。
いくら仕事が軌道に乗ったとしても、肉親に反対されていたのでは、どうしたって仕事に身が入らない。
私は、どうしたら両親に認めてもらえるかと真剣に考えた。