同期との飲み会で使っていい金額は「1年で1万円まで」
午前中の打ち合わせに少し遅れて来た編集者のA君(25歳・独身)。
必死に謝る彼に、遅刻の理由を聞くと、こんな答えが返ってきた。
「実は昨日、同期と遅くまで飲んでしまって……。二日酔いで起きられなかったんです」
正直に答えたことは評価するが、飲んでいて仕事に支障をきたすとは、社会人としての自覚が足らない。
お灸(きゅう)をすえる意味でも、私は少し意地悪な質問をしてみることにした。
「会社の同期とは、どのくらいのペースで飲んでいるの?」
「週一回は飲みますね」
「けっこう頻繁(ひんぱん)に飲んでいるんだね」
「まあ、付き合いなんで……仕方なくなんですけどね」
A君は、なぜそんなことを聞くのかと思っているのかもしれないが、遅刻してきた手前、私の質問には素直に答えるしかない。
「飲み代は1回で、だいたいいくら使ってるわけ?」
「そうですね、4000円くらいですかね」
「となると、月に1万6000円は使っている計算になるね」
「え? ああ、そうですね……」
A君はあきらかに不可解な顔をしている。
だが、私の質問はまだまだ続いた。
「月に1万6000円ということは、1年だといくらになる?」
「えーと、かける12ヶ月だから……19万2000円ですね。えっ! 19万2000円⁉ 高っ!」
ようやく私の意図に気づいたのか、A君はそのまま黙り込んでしまった。
付き合いだから仕方がないとA君は言うが、行かなかったからといって、たいした問題にはならないはずだ。
意味のない付き合いに使うお金と時間を他に振り向ければ、かなりのことができるはず。19万2000円あれば、ちょっとした海外旅行にだって出かけることができるじゃないか。
それを、いつも代わり映えのしない同期と、代わり映えのしない話をして酒を飲むために浪費していたのでは、もったいないではないか。
しばらくして、黙っていたA君がようやく口を開いた。
「自分でもムダだとは思ってるんですけど、誘われると断れないんですよね」
「予算を決めてしまったらどうかな?」
「はぁ……、いくらが妥当なんでしょうか?」
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