君のためなら地の果てまでも、と誓った男の行動力

警官の山本に無理をいって、自宅に押しかけた百鳥ユウカはそこで山本の妻・和子と出会う。ユウカが知りたかったのは、山本との結婚に至る馴れ初め話。山本側からの話だけでは、どうにも納得がいかなかったユウカは、和子から見た結婚への馴れ初め話を聞こうと思ったのだった。

「ほら、ここにも雑草がまだ残っとるよ」

山本の妻である和子は、遠慮なくユウカに注文を出す。さっきまで、ユウカはお客さんだったはずなのだが、和子の口調はキツい。

「は、はい。あの和子さんて、人から厳しいって言われたりしませんか」

そんなユウカの言葉に対して、和子はケラケラと笑うと、

「ないよ。優しいと言われとる」

「そうですか……」

「ウチの人の後ろに乗ってここにやってきた女だけは別じゃ(笑)あそこは、ウチだけの場所やで」

「ええぇ! そんなつもりじゃ……」

冗談めかしてみせたやきもちは他の人なら可愛いのかもしれないが、和子がいうとやや怖い。ユウカはとっさに話題を変えた。

「あれ? 山本さんは?」

「あぁ、もう寝とるよ。昨日は泊まり番じゃったから、きっと今頃、居間で高いびきじゃろうて。あんたは、どこから来たん?」

「えーと、神戸? でも、その前は熊本にいて、その前は東京かな」

「そうか。なんぞあったんか?」

「うーん、なんか、なりゆきでいろんなとこ行ってるね。でも、こんな生活も悪くないよ」

「もうええ年齢じゃろ、結婚はせんのか?」

「相手がいないもん。いれば、即するよ」

ユウカは、丹念に草むしりをしながら(あとで和子に怒られないように)答えていた。和子は、ユウカのすぐ後ろでトマトの苗木から無駄に生えた枝葉を整理している。ちょきんちょきんと太くなりかけの枝にハサミをひっかけてフンと力を込めて切り落とす。

「あんたは男に対して厳しいんじゃろ。あれがダメ、これがダメとか」

「そうかなぁ。ちゃんといいところを見ようとしてるよ。でもさ、そんな広い心を裏切ってくんの。男っていう生き物は」

「あはは。男のせいにしちゃいかん。たいがい女も悪い」

草むしりを終えると、和子はユウカに冷たい濡れタオルを渡してくれた。

「はぁ〜、気持ちいい」

「ここの裏の井戸でくんだ水は真夏でも冷たいよ。そのタオルは井戸水で濡らしたよ」

「ありがとうございます」

「あんた、シャツも汚れてしもうたな」

「うん、もう汗でベタベタ。どうしようかな」

「ええよ。ウチの風呂つこうても」

「やったぁ」

この続きは有料会員登録をすると
読むことができます。
cakes会員の方はここからログイン

1週間無料のお試し購読する

cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。

人気の連載

おすすめ記事

この連載について

初回を読む
結婚できない2.0〜百鳥ユウカの婚活日記〜

菅沙絵

友人たちが彼女につけたあだ名は「レジェンド・ユウカ」。結婚市場に残された最後の掘り出し物という意味だと説明されたが、たぶん揶揄する意味もある。妥協を知らない彼女が最後にどんな男と結婚をするのか、既婚の友人たちは全員興味深げにユウカさん...もっと読む

この連載の人気記事

関連記事

関連キーワード

コメント

hitomi_nekosan |菅沙絵|結婚できない2.0〜百鳥ユウカの婚活日記〜 以前、試し読みした『美醜の大地』を思い出した。壮絶ながらも希望のある話! https://t.co/mg7PFdThzg 3年以上前 replyretweetfavorite

SisHxxck  これも毎週の楽しみ。理解出来るハズのない他人の感情を理解した気分にならないで素直になんで?どうして?と思えるのが百鳥ユウカの強み 3年以上前 replyretweetfavorite

sapporo255 ちょっと重い過去があったみたいですね。 でも、人を好きになるってそういうものなんだよな。愛情って深いです。 3年以上前 replyretweetfavorite