​そばの「ずるずる」、鼻水の「ずるずる」

日常生活でどうしても気になってしまうのが、他人のたてる音。日本人には粋とされるそばをすする音も、外国人は下品と感じたり、人によってその基準はマチマチ。ただし、多くの場合人を不快にさせてしまうのは、自分が意識せずにたててしまう音のようです。今回の「ワイングラスのむこう側」は、そんな音について考えます。

そばを音を立てて食べますか?

いらっしゃいませ。
bar bossaへようこそ。

おそば、好きですか? 勢いよくズルズルッとすすって食べてますか? あれ、ご存じかとは思うのですが、外国人がすごく嫌がるんですよね。欧米人だけではなく中国人も「あの日本人が麺を食べるときのズルズルッと音を出すのがとにかく耐えられない」って思っているようです。

ところでこの「ずるずる」ですが、杉浦日向子の『ソバ屋で憩う』を読んでいたら、日本人がやり始めたのは明治以降なのだそうです。元々、日本人は、麺は唇をすぼめての「つるつる」は良いけど「ずるずる」は下品とされていたそうです。

でも、新そばは香りを楽しむため、「ずるずる」は黙認されていたそうです。その新そばを食べている様子を落語家が高座でズルズルッとやったのを見て、庶民の間でも「ずるずる」が粋とされて、流行ったとのことです。つまり、全然、日本人の伝統的な食べ方ではないんですね。

まあでも僕もそばはズルズルッと食べます。実際、蕎麦の香りが楽しめますし、その食べ方の方が「粋だ」と身体に染み着いています。そしておそば屋さんで、白人や黒人も含めた多くの外国人がズルズルッってやるの、何度も見たことあります。日本国内ではずるずる食べても問題ないと思っているのかもしれません。

グレーゾーンはうどんとラーメンですね。これはもう「麺はズルズルッ」と決めていて、勢いよくズルズルッとやっている方が半分くらいのようですね。これ、多くの外国人だけでなく一部の日本人もイヤだなあと思っているのは知っておいた方が良いようです。もちろん、これを読んでいる人にそんな人はいないかと思いますが、パスタの「ずるずる」は完全にアウトです。日本人も嫌がります。

お味噌汁はどうでしょうか? 「ずずず」って音を出して飲みますか。熱いお味噌汁を冷ますためにやってしまいますよね。これ、色々と調べてみたら、どうやら作法としてはアウトのようです。でも、まあ日常生活を送っていて、許される範囲ですよね。それとお茶も熱い時「ずずず」と飲んでいる人が多いと思いますが、これ、実はマナー違反ではないようです。もちろん不快に感じられる方もいるかもしれないので、気になる方は気をつけたほうがいいかもしれません。

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ワイングラスのむこう側

林伸次

東京・渋谷で16年、カウンターの向こうからバーに集う人たちの姿を見つめてきた、ワインバー「bar bossa(バールボッサ)」の店主・林伸次さん。バーを舞台に交差する人間模様。バーだから漏らしてしまう本音。ずっとカウンターに立ち続けて...もっと読む

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