世界でヒットするマンガ作品を生むには?—「日中漫画大賞」をはじめます。

中国の巨大SNS・Weiboのマンガ部門Weiboコミックと、作家のエージェント会社・コルクと、クリエイターのプラットフォームのnote。3社が協力し、日中のマンガクリエイターを発掘する「日中漫画大賞」が開催されることになりました。
いまの中国のマンガ市場はどうなっているのか? 日中でヒットさせるためにはどんなマンガがいいのか? など、コンテストの指針とあわせて、3社の代表の方々にお話をうかがいました。

とにかく大規模な中国のマンガ市場

加藤貞顕(以下、加藤) 今日はお集まりいただき、ありがとうございます。この度、Weiboコミックコルクnoteで「日中漫画大賞」というマンガの投稿コンテストをやることになりました。ということで、Weiboコミックの安さんと、コルクの佐渡島さん、柿内さんに、お話を伺っていきます。

一同 よろしくお願いします。

加藤 「日中漫画大賞」では、日本はnoteで、中国はWeiboで、マンガを投稿してもらって、コルクのお二人を含む日本の審査員と中国の審査員で入賞作品を決めて、その作品を日本と中国で盛り上げていければと思っています。

安陽(以下、安) Weiboコミックでは、マンガの連載だけでなく、書籍化や映像化、グッズ制作などマンガにまつわるさまざまな事をやっています。日本はマンガの文化が盛んなので、今回は日中でいっしょに盛り上がる機会をつくりたいと思っています。

加藤 まず確認したいんですが、Weiboってすごく大きいサイトですよね。ユーザー数ってどれくらいなんでしたっけ?

 中国エリアだけで、登録者数は7億人以上で、月間のアクティブユーザーは3.1億人います。

加藤 7億とか3億とか、ちょっと桁が大きすぎておもしろいくらいですね(笑)。で、WeiboはTwitterとFacebookを合わせたようなSNSサービスなわけですが、それだけではなく、自社でもコンテンツをつくっているんですよね。

 はい。Weiboコミックは、自社でもマンガ家さんに依頼してマンガを描いていただいたりして、かなり力をいれています。そこから、本にしたり、映像化したり、グッズをつくったりと、コンテンツの2次展開も積極的に手がけています。

佐渡島庸平(以下、佐渡島) このマンガとか、すごく絵がうまいですよね。

加藤 やっぱり中国って歴史ものが人気あるんですね。ほかにも猫とか家族ものとか、わりと日本と変わらない感じのものもあります。こういう背景があって、日中でコンテストをやったらおもしろいだろうと、この企画が立ち上がったわけです。佐渡島さん、柿内さん、いかがですか?

佐渡島 中国と日本は、文化が似ているところもあるし、ちがうところもある。その上で、市場はものすごく大きくて、マンガが好きな人たちも既にたくさんいるので、日本のマンガ家にとっても発表しやすい場だと思っています。 でも、日本人が自分たちだけで出ていくのは、言葉の壁もあるし、プロモーションなども考えると現地の会社と組んだほうがいいと思うので、今回の企画は楽しみにしています。

柿内芳文(以下、柿内) 作品のつくり方でも、むこうの作家に学べるところは学んでいきたいと思っています。Weiboでは、どんな感じの作品がヒットするんですか?

 中国では新人マンガ家はWeibo上にどんどん自分の作品をアップロードしていて、人気が出るものはわりとすぐに結果が出ます。フォロワーが増えていって、映像化、書籍化といった2次展開が決まっていきます。

加藤 そのせいか、ライトな作品が多い感じがしますね。たとえば猫の日常を描いているマンガ家さんを見てみると100万人以上のフォロワーがいます。このくらいのフォロワー数のひとがごろごろいるのがすごい。

 この丁一晨さんという方は、自分の日常をマンガにしているんですが、フォロワーが何百万人もいて、そこからビジネスが生まれています。Weibo上で無料で連載したマンガのキャラクターがブランドと連携して店舗のディスプレイになったり、書籍化やグッズ化をしたりして、二次利用で収益をあげているんです。

柿内 それ、コルクがまさにやっていることだなあ。そういう面では、中国の方が大規模で、かつ先を行ってる感じもありますね。

加藤 ほかにもこういう方はたくさんいるんですが、こういうふうにネット上の作家さんたちに何百万人のフォロワーがいて、本やグッズ、映像化で更に広がるっていう事が中国で起きているんですね。こういう場所で、日本のクリエイターが勝負できるのは楽しみですね。

今回のコンテストではWeiboさんにご協力いただいて、入賞作は翻訳して中国でも発表しつつ、さらに映像化などの2次展開を広げていくということをやりたいと思っています。

 はい、僕たちもコンテンツプロバイダーなので、作品をつくるところから一緒にやっていきたいです。日本のマンガって日本の国内市場に向けてつくられているものが多いですよね。まずは日中の両方で楽しんでもらえそうなコンテンツ探して、それを映像化したり周辺グッズの開発をしたり、中国の他のマンガとコラボしてもいいだろうし、そういうサポートをさせてもらえればと考えています。

ネットで再評価される、80年代90年代風のコンテンツ

加藤 今回のコンテスト開催にあたって、この間、中国の北京でWeiboコミックの年次総会にお邪魔したんですけど、演出がものすごかったんですよ。

佐渡島 派手だな!(笑)

柿内 日本のバブルの時代をさらに派手にした感じですね。

 今回のコンテストの表彰式も、入賞者のみなさんには中国にきてもらって、こんな感じでやりたいなと思っています。

柿内 思ったんですけど、80年代90年代の日本って、経済的にはバブル期だったんですが、その時代のコンテンツって、いきおいがあっておもしろかったと思うんですよね。 それで、そういう感覚って、いまウェブにきてるなと思っていて。たとえばYouTuberがやってる事だったり、この間のAbemaTVの「亀田興毅に勝ったら1000万円!」って企画って、昔のテレビの企画と似てますよね。

加藤 たしかに、いまはウェブのほうが元気かも。

佐渡島 それで言うと最近の日本のマンガって、市場にチューニングされてその逆になってきてるよね。たとえばグルメマンガとか、細分化された狭いところにどんどん入っていって、ハイコンテクストになってしまっている。

柿内 そうそう。だからマンガも、昔のベタなものをもういちど見直してみるとおもしろいと思うんですよね。80年代90年代に流行った作品を、もっと研究してもいいんじゃないかなと思います。

加藤 うん。王道ものはやっぱりおもしろいですよね。ネットで流行っている、日常系とかエッセイマンガもちろんいいんだけど。

佐渡島 今回のコンテストの審査委員長でもある、マンガ家の三田紀房さんともよく話してるんですけど、最初の着想は針の穴を通すくらいのすごく狭いところでもいいんだけど、そこから大きいテーマに繋げていけるといいよねと。

柿内 そうですね。だから今回のコンテストでは、そういう広いところを狙った作品が見られるといいなと思っています。たとえば、三田さんの「クロカン」とか、中国で連載したらどうなるのかなと思うんですよ。

加藤 「クロカン」、たしかにいいかもなあ。高校野球のマンガで、日本独自の狭そうなネタなんだけど、最終的にはお金や青春という普遍的なテーマになっているもんね。中国でもウケるかもしれませんね。

日本式のヒット作品のつくり方

柿内 あと、新人マンガ家が躍進するための場所を考えると、ライバルやオーディエンスの存在と、アウェーの状況って、すごく大事なんじゃないかなと思っています。

加藤 ほうほう。

柿内 ジャンプが典型ですけど、数百万人の読者というオーディエンスがいるところで、連載を勝ち取るためにライバルと枠を競って切磋琢磨する仕組みで、良い作品を産み出していますよね。さっきWeiboのアクティブユーザーが3億って言ってましたけど、ものすごい数のオーディエンスですよね。 もうひとつ、アウェーということについて言うと、日本だけでなく中国の人にもおもしろいと思ってもらえるような作品づくりを目指してもらえると、結果的に作品の強度も高まるんじゃないかなと。

加藤 そうですね。日本と中国、両方で受け入れられる作品を目指すと、世界中で受けるものが結果的にできるんだろうなと思いますね。

佐渡島 コンテンツってそもそも基本的にはクリエイターがひとりで勝手につくっていたものだと思うんです。ただ、編集が入ると質が上がるというのは僕らの実感値としてあって。そういう編集の土壌だったり、柿内の話にあった、いい作品が生まれやすいシステムというのは日本は他の国より発達しています。だから今回の試みは、そういう日本のよさと、中国の市場がうまく出会えるいい仕組みだと思います。そして、僕たちも中国のすごい才能のクリエイターと出会えることを楽しみにしてます。

 そうですね。私たちも日本のおもしろい作品をもっと見たいし、中国のマンガも日本の方々に見てほしいという気持ちがあります。 今回のコンテストでは、日本のみなさんには、今回はプロ・アマ問わず、応募していただきたいと思っています。新作を歓迎しますが、昔、発表した作品も応募可能にしました(※)。みなさんの作品を、日本だけでなく、中国で、世界で、大ヒットさせたいと思っています。
※ 出版権、電子化権、海外での2次利用権などを作家自身が保持している場合に限る。

加藤 みなさんの募集、お待ちしております!



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Weiboコミック×コルク×note「日中漫画大賞」

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中国の巨大SNS・Weiboのマンガ部門Weiboコミックと、作家のエージェント会社・コルクと、クリエイターのプラットフォームのnote。3社が協力し、日中のマンガクリエイターを発掘する「日中漫画大賞」が開催されることになりました。 ...もっと読む

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コメント

marekingu #スマートニュース 4日前 replyretweetfavorite

yamada_theta 佐渡島さんの分析がすごい腑に落ちた。「最近の日本のマンガって、市場にチューニングされてその逆になってきてるよね。たとえばグルメマンガとか、細分化された狭いところにどんどん入っていって、ハイコンテクストになってしまっている」 https://t.co/MQbxoy4IT3 9日前 replyretweetfavorite

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