タレントになろうとする人はみんな「すごくおもしろい」
僕はテレビプロデューサーとして、番組作りに長く携わってきたので、著名なタレントの方々、つまり芸能人や俳優、文化人、アーティストの方々とたくさんお仕事をさせていただいてきました。
そんな方々と仕事して改めて感じるのは、“タレントとは才能”だっていう本来の意味です。芸能界に入ってくるぐらいだから、どんな落ち目の人も人気のない人も、実際にあったり話を聞くと、みんな一芸あるというか、多種多様なタレント力=才能にあふれた人ばかりなのです。
例えば番組の収録前に打ち合わせしていて、あまり話を聞いてないように思えるタレントさんでも、収録が始まると、僕らの演出意図を勝手に汲み取って、むしろ僕らの想像以上におもしろくしてしまったりします。
以前知り合いの構成作家さんが言っていました。
「新しい芸人さんが登場すると、すぐ世間ではおもしろい! つまらない!と感想言うけど、特につまらない!って言われがちな方だって、学校で一番おもしろいレベルの人だからな。その人たちが集まって芸能界に入って、さらに街で一番おもしろいレベルの人がテレビによく出てたりするから、みんな圧倒的におもしろい人たちなんだよ」
僕も本当にそう思います。
特に滑り芸を“売り”にしている方は、つまらないと思われがちですが、むしろそれを“売り”にできるくらい計算しているし、そしてそれを計られないくらい天然に見せられる才能があるから、滑り芸を“売り”にできるのです。
一方でそんな長年のテレビ現場の作業では、一般の方にアンケートを取ったりインタビューをしたり、芸能界にデビューしたい方のオーディションもしたりしてきました。
街で無作為に街頭インタビューする機会もありますが、リサーチ会社に企画を説明して、その企画に出たい方を募集してオーディション面接をやることも多かったです。
オーディションで実際に会って、話を聞いたり、パフォーマンスを見せてもらったり、過去の作品を見せていただくと、かなり優秀な方も多いのです。
ですがその人たちは、まだ世に出てヒットしているわけではありません。
なぜこの人たちも才能があるのに、開花していないのか?
僕は長年そんな人たちを見て来て、ある共通点があると思いました。
芸人や俳優、アーティスト等、名前が世に出て成功しているタレントさんと、まだ世に出てヒットしていない人には、タレント能力以前に、明らかに差があるのです。
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