人と人をつなぐ包括的プロセスへの変化
米国の先端的なメディア、「バズフィード」の創業者であるジョナ・ペレッティさんは、こう語っています。
「記事や動画は個人に向けて最適化されるのではなく、どのような記事や動画を読者がみんなと共有したいと考えているかということに、フォーカスしていかなければなりません」
ひとりの個人に向けるのでなく、仲間や共同体に向けて情報を送り届けるのだという考えかたなのです。ここで、先に書いた2つの真逆の方向性の問題に、解決の糸口が見えてきました。
「ビッグデータによって情報が絞り込まれ、的確に届くということ」と、「わたしたちのプライバシーが侵害される感覚にならないこと」
この2つの真逆の方向性を解決するには、共同体という概念を間にさしはさめばいいのです。わたしたちひとりひとりに的確な情報をパーソナライズして届けるのではなく、「わたしたち」という仲間、共同体に的確に届ける。それによってプライバシーの問題は解消することができるのです。
さらにこの2つが交叉する地点では、メディアの意味も変わってきます。
ペレッティさんは、こうも語っています。
「『バズフィード』は単なるメディアではありません。ニュースや動画やライフスタイルやさまざまなコンテンツを、ウェブやモバイル、アプリなどを経由して配信する『包括的なプロセス』なのです」
メディアではなく、プロセスだというのですね。これまでのようにテレビや雑誌、新聞、ラジオといった媒体だけを意味するのではなくて、インターネットはもっと大きなものになっていく。人々をくるみ、そこに人々のあいだのつながりや個人としての満足など、みんなが求めている結果をうみだすための支えになっていくというようなイメージでしょう。メディアの変化はここでも語られています。
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