お前に芦田愛菜を語る資格があるのか

今回取り上げるのは、子役として活躍し、今年都内の名門私立中学に入学した芦田愛菜。さっそく予備校の広告に「天才はいない。」というキャプションとともに登場しましたが、「いやいや……」と思って締まった人も多いのでは。大人びた立ち振舞をする天才子役たちの姿から、彼らについて語ることの難しさを武田砂鉄さんが論じます。

「天才はいない。」との主張

かつて、『ホンマでっか!?TV』にゲスト出演した芦田愛菜に対し、ズラリ並んだ評論家の一人である武田邦彦が「(愛菜ちゃんは)生まれてしばらくだから……」とつぶやいたのが頭から離れない。そうか、生まれてしばらくの人がこうしてテレビで立派に答弁しているんだなと、生まれて結構経った人間として、つくづく驚いたのだった。彼女が生まれたのは2004年。その年に起きた重大事件を伝えても共有できるか分からないから、あえて細かい事案から拾ってみると、国民年金の納付を促すCMに出ていた江角マキコが保険料を納付していなかったことが発覚し、謝罪会見を開いたのが2004年である。そんなの、つい最近のことのように思えるが、あの頃に生まれた芦田愛菜は、今では「早稲田アカデミー」の広告に出て、「天才はいない。」との一言コピーを添えられ、こちらを凝視してくるのである。

昨年夏からの猛勉強で難関中学に軒並み合格した芦田愛菜へのリスペクトが高まっている。忙しい仕事の合間を縫って勉強に励んだ、天才子役も努力したからこそ受験をクリアできた、だから「天才はいない。」ということらしい。「いや、お前、天才子役だろ!」というツッコミを想定した上での「天才はいない。」との主張。ドラマ『Mother』のオーディションでA4用紙10枚にぎっしり書かれたセリフを渡された当時5歳の芦田は、そのセリフを完璧に記憶し、どのシーンから撮影を始めても臨機応変に対応、台本に無い「さりげなく足をブラブラさせたり、身体を揺らしたり」という仕草すら盛り込んでいたそうだから(芦田愛菜と愛菜プロジェクト編『愛菜学』)、凝りもせず「いや、お前、天才子役だろ!」と、その広告に向かって突っ込むのであった。

芦田が購入した『人間図鑑』
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ワダアキ考 〜テレビの中のわだかまり〜

武田砂鉄

365日四六時中休むことなく流れ続けているテレビ。あまりにも日常に入り込みすぎて、さも当たり前のようになってしったテレビの世界。でも、ふとした瞬間に感じる違和感、「これって本当に当たり前なんだっけ?」。その違和感を問いただすのが今回ス...もっと読む

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