第10回】統計学を武器に事業を伸ばす データ解析ビジネス最前線(前編)

大量のデータの収集と分析によって顧客を知る。マーケティング分野でのビッグデータの活用に注目が集まっているが、派手さはなくとも、データ解析を確実にビジネスに生かす事例は多い。

 「この10年で、ウェブサービスやEC(電子商取引)の事業者は、どのユーザーがどのページから来て、どういう行動をしたかをかなり追跡・分析できるようになってきた」

 そう語るのは、オンラインマーケティングに詳しいアジャイルメディア・ネットワークの徳力基彦代表だ。「顧客の心理を覗けるようなもので、これこそまさに経営者が知りたかった情報。今までは経験や勘でわかったつもりになっていたことが、データでわかるようになっている。一方、マスマーケティングをやっている大企業、特にメーカーは恐ろしいくらいデータを見ていないし、そもそも顧客データを持っていない。この点では、二極化が進んでいる」。

 「顧客を知る」というビジネスの基本を突き詰める点で、オンライン、オフラインを問わず、小売りやサービスの現場ではデータ分析のニーズが高まっている。そして、データ活用に関して意識が高いか低いかということは、企業の命運を分ける重大事項となっている。

 当然だ。漠然とした「大衆」に、経験や勘という曖昧な根拠で対峙していくのに対し、顧客一人ひとりの消費行動についてのデータを分析し、個人ごとの興味・嗜好まで把握した上で、未来の消費行動まで予測したり、好みの商品に誘導することができるなら、怖いものなしである。

 それ故に昨今、ビッグデータという言葉に注目が集まり、それをマーケティングのキーテクノロジーとして活用しようという動きが高まっているのである。もっとも、いまのところは流行に乗っただけで、さしたる成果を出せていないケースが多いのも実態だ。

 データ分析においては統計学の手法は不可欠である。ここでは、そうした統計学の考え方を、確実にビジネスに生かしている例を紹介する。

スポーツ

女子バレー、野球…
統計分析を駆使したチームづくり

 28年ぶりの銅メダル獲得。昨年7~8月のロンドン五輪で、全日本女子バレーボールチームが快挙を成し遂げたことは記憶に新しい。

 その偉業もさることながら、それと同様に人々の目に焼き付いた光景がある。眞鍋政義監督がタブレット型端末、iPadをコートに持ち込んで、指示を飛ばしていた様子だ(写真)。画面には自チーム、相手チームに関する分析データが映っていた。

iPad片手に選手へ呼びかける姿は、今や眞鍋監督の代名詞だ。選手の経験や勘とデータを結びつける。Photo:日刊スポーツ/アフロ

 そんな「データバレーの勝利」の立役者として、一躍時の人となったのが、全日本女子バレーのデータアナリスト、渡辺啓太氏だ。

この続きは有料会員登録をすると
読むことができます。
cakes・note会員の方はここからログイン

1週間無料のお試し購読する

cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。

人気の連載

おすすめ記事

週刊ダイヤモンド

この連載について

最強の武器「統計学」【4】~統計を使いこなす

週刊ダイヤモンド

マーケティングの分野でニーズが高まる、ビッグデータの収集と分析。データ活用に関する意識の高低が企業の明暗を分けるといっても過言ではない。スポーツ、リクルート、投資、ウェブサービス、機械翻訳など、データ解析を活用したビジネスの事例を紹介...もっと読む

この連載の人気記事

関連記事

関連キーワード

コメント

Tweetがありません