台湾のひとと夫婦別姓について話したらすごい発見があった話

先日、台湾人の方と食事をしたという牧村さん。台湾では「男の子」と「女の子」を分けることは少ないという話や、夫婦別姓の話を聞き、「へぇ~~!!!」と驚くことがたくさんあったようです。牧村さんは、今回、どんな発見をしたのでしょうか?

※牧村さんに聞いてみたいことやこの連載に対する感想がある方は、応募フォームを通じてお送りください! HN・匿名でもかまいません。
先日、縁あって、日本に駐在する台湾人の方と一対一で食事をした。
とってもおもしろかった。
台湾といえばめっちゃロックな反骨精神の国というイメージを私は持っていて、なんでかっていうと、台湾の同性愛者が使い出した「同志」という言葉にまつわるエピソードがめっちゃロックだったからだ。

「同志~(笑)」が意味するもの

中国本土のひとたちの多くが支持している/させられているのは、中国共産党的な価値観である。対して台湾の人たちの多くは、中国共産党的なものを拒み、自由・民主主義・人権といった価値観のために戦っている。ということで、中国共産党の支持者たちが互いを呼び合う時に「同志(とんじー)」という言葉を使う姿のパロディとして、台湾の同性愛者たちもお互いを「同志~(笑)」って呼びはじめたらしいのだ。

中国共産党的な価値観から言えば、同性愛は認めがたいものである。なので、中国共産党員ごっこをして笑いながら同性を愛するという行為は、中国語圏の同性愛者たちにとって、まさに自分を貫くということ、なにかを強いてくるやつらに笑顔で中指を突っ立てるということなのだ。

この「同志~(笑)」という用法は広まり、ついに中国語辞典の「同志」という単語の意味として「同性愛者」も載るほどになった。が、2012年、出版社の自粛か政権からの圧力か「同志という単語で同性愛者を意味する用法を広めたくないので辞書から削除します」ということになってしまい、中国語圏で大きな反発が起こった(参考:中国新聞網CNN

「彼らが辞書に書かれなかったからといって、彼らが存在しないというわけではない」

私は思った。

めっちゃかっこよくない?

ということで、何かに押さえつけられても自分を貫く人が好きな私は、台湾や、中国本土にいるけど中国共産党に従わずに検閲をくぐり抜けてBLを読んだりする中国のひとたちが好きなのだ。

男の子、女の子、って分けたりしない台湾

とはいえ、私は中国語も台湾華語もできない。今回食事をご一緒した相手は日本語を話してくれたけれど、まだ勉強中だということで、私たちはたまに言葉が通じない。

それでも、中華料理屋さんのメニューの紙に漢字を書くと、相手が繁体字、私が日本漢字を使うという違いはありつつ、なんとなく話が通じるので、ほんと、「おとなりさん!」って思って親近感がわいた。

お互い漢字文化圏ですね~みたいな話から、節句の話になった。日本では「ひなまつり(桃の節句)」とか「こどもの日(端午の節句)」ということで、漢字文化圏のおまつりである節句を西洋の暦にのせてお祝いするけれども、台湾ではどうなのか。日本のように、女の子のまつり、男の子のまつり、って分かれているのか、と質問したのだ。

なんと、分かれていないらしい。

平等を目指す台湾社会では、あんまり、男の子、女の子、って分けたりしない。日本社会では、いわゆる“ガラスの天井”ってやつで、女性が総理大臣になったことはいまだにないし、女性政治家の比率も低い。けれども、台湾では女性がトップになったし(蔡英文中華民国総統)、政治家における男女の比率も、全人口における男女の比率とだいぶ近い。つまり、男性ばかりに偏ってはいない。

私は1987年の日本に生まれ日本社会で育ち、わりと“女性は家事や子育てに向いているんですよ~、それが自然ですよ~”みたいな価値観を刷り込まれながら今まで生きてきたと思っているし、小学校の帰り道には「女性党」みたいな政党のポスターが貼ってあって「女性の意見を女性が代弁します!!」とかいうピンクのスーツの人の写真が並んでて「女性っつったっていろいろいるじゃん? なにそれ」と思いながら赤いランドセルを背負って歩いていた。汚れが目立つし赤って趣味じゃなかったから黒の方がよかったんだけど。

ともあれ、“女性かどうか”で世界があらかじめ分けられるんじゃなくて、ひとえに“その人が政治家としてどうか”ということで判断され、実際の人口における性別の比率と同じくらいの割合で議員さんたちも選ばれる、というほうが、私にとっては、よっぽど自然であるように思えた。

夫婦同姓の強制が続くと、意外なことが起こる

台湾についてお話を伺っていて、いちばん、へぇ~っ、と思ったのは、“姓の多様性”の話だった。性、じゃなくて、姓。苗字のほうの話。

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ハッピーエンドに殺されない

牧村朝子

性のことは、人生のこと。フランスでの国際同性結婚や、アメリカでのLGBTsコミュニティ取材などを経て、愛と性のことについて書き続ける文筆家の牧村朝子さんが、cakes読者のみなさんからの投稿に答えます。2014年から、200件を超える...もっと読む

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コメント

kuha_72jp 「結婚などにより姓が変わる、ということが繰り返されると、だんだん消滅してしまう姓が出てくる」 2年弱前 replyretweetfavorite

chilican_tw 同姓だと結婚できないのは、同じ一族とみなすからなんだけど、ざっと三千年前の周王朝の考えが影響してるんだ。 2年弱前 replyretweetfavorite

daisukeooka そうか!そうだよな!大発見読むべし。> 2年弱前 replyretweetfavorite

oberon_metatron https://t.co/i4Ao5tIP7x 2年弱前 replyretweetfavorite