「愛」と「孤独」は切り離せない
ここ最近のパリジャン十色では、「孤独」をテーマに色々なことを考えています。
これまで、「愛」や「結婚」が私の生活の中でものすごく大きな存在だったので、そのことについて文章にしてきました。しかし、それを考える中でどうしても「孤独」というものも、切っても切り離せないものとして、意識の中をずーっとついてきていました。
ちょっと暗いテーマかもしれませんが、案外誰でも考えたり、ぼんやりと不安に感じたことはあるのではないでしょうか?
私がこうして今「孤独」に向かい合って記事を書くようになったのは、フランスに住んでみて、孤独がただ恐れて逃げ回るべきものではないと知ったからでもあります。ここ最近では、「ああ、孤独の存在そのものを認めていいんだなぁ」と思い始めてもいます。ただ、孤独との向き合い方や付き合い方はまだ良くわからず、ごまかしごまかし日々を過ごしています。
今回のパリジャン十色では、「孤独とどんな風に付き合っていけばいいのだろう?」そんな疑問を持った私が、自分より長くフランスで生きている1人の日本人女性にインタビューし、彼女の生き方を参考にさせてもらうことにしました。
フランスで生きた女性の、孤独との付き合い方
彼女の名前はMさん。これまでフランスで長く仕事をしてこられた独身女性で、定年退職後もパリ近郊にお住まいです。私と彼女の出会いは、フランス在住の日本人の集まり。そこで何度も顔を合わせてお話をするうちに、いつもおめかしして輝いていて、自信も溢れ、楽しそうにしているMさんに惹かれていきました。
時々一緒にお出かけしたり、電話で近況を話し合ったり、私の悩みを聞いて相談にも乗ってくれる彼女は、世代の差をまったく感じない不思議な感覚でおしゃべりできる友人です。Mさんとお話をすると、彼女の人生の実体験から導き出された考え方に、同じ女性として身に染みるアドバイスをもらうことが少なくありません。
Mさんに、「孤独」をどんな風に捉えているのか? そして、どんな風に付き合っているのか? という質問をぶつけた際に返ってきた答えは、私が想像していたものとは違うものでした。
—— 最近、孤独について考えていたのですが、フランス人と日本人の言う「孤独」は違うと感じているんです。日本語で孤独は「孤独」と書きますが、フランスだと「個独」と書くのがしっくりくるような気がしています。Mさんは、そんな違いを感じられますか?
Mさん 「個独」、なるほどね(笑)。確かに、フランス人は孤独についての感じ方が、日本人とはちょっと違うわね。例えば、私の親しいフランス人は「いずれにしても、誰もがみな孤独だ」ってよく言っていたのを覚えています。私もそう思うわね。それに、完全に自分のことをわかってくれる人なんて、いないじゃない?とも思うわけ。
おっと、いきなりMさんの孤独観の芯の部分に触れてしまった気が……。完全に自分のことをわかってくれる人はいない。これには、私もなんとなく気づいてはいたけれど、孤独以上に真っ正面から向き合うのは難しい事実のような気がします。
Mさんの本質を突く言葉に動揺しながらも、私は今回一番聞いてみたかった質問をしてみることにしました。
—— Mさんは、自分が孤独だと感じることはありますか?
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