まだ10代のころ、アルバイトで稼いだわずかなカネを握りしめて、緊張しながら、浅草の地に降り立ったことを。目指したのは、六区に輝くランドマーク「ロック座」。受付に5千円札を放り込み「大人1枚」と無理に低い声で言い放った時、ちょっと男になった気がしたものだ。
その後のショーのことはよく覚えていない。とにかく眩しくて、美しくて、助平心を抱いていた自分を恥じたことだけが印象にある。
観光客が帰途につきはじめ、喧騒が一段落したころ、国際通りに灯がともり始める
二十数年がたち、久しぶりにストリップを見た。女性や外国人観光客で埋まった客席に隔世の感を抱きつつ、当時と変わらない完成度の高いショーには目を見張った。ロック座からすぐそばの「煮込み通り」の居酒屋で、“初体験”の思い出に浸っていると、O氏が言う。
「せっかくだから、ロック座の伝説に会いにいきませんか?」
訪れたのは国際通り沿い。観光客があまり訪れない、昔ながらの歓楽街としての浅草が根付く一角にその店はあった。
カウンターのなかに浅草のスターが!
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