美女入門

美人度アップの写真術

ananの名物エッセイ林真理子「美女入門」。part15となる最新刊『美女は飽きない』発売記念の名編再録、「美女入門 part1」から、1997年の1編「写真は知っている」をセレクト。マリコ十八番のダイエット挫折から美人度アップ撮影テクに展開するエッセイはまさにネタの宝石箱。プロの美女撮影術ウンチクはもちろん、恋愛感情入りカメラアイが、女性を美しく撮るというオンナ心を揺さぶる話の運びがさすがです。

 友人四人と小旅行に出かけた。一泊だけの温泉旅行であったが、実に楽しかった。今日、そのうちのひとりが写真を持ってきてくれたのであるが、実に楽しくなくなった。私がうんとブスに写っていたからである。

 日本が生んだ名バレリーナ森下洋子さんは、次のような素晴らしい言葉を残している(確か時計の広告に書いてあった)。 「練習を一日怠けると自分にわかります。  二日怠けるとパートナーにわかります。  三日怠けると観客に分かります。」

 わーん、私のダイエットの怠けは、はっきりと写真に表れているではないか。私は思う。

「ダイエットを一週間怠けると自分にわかる。  二週間怠けると写真にわかる。  三週間怠けると誰にでもわかる。」

 昨年以来結構うまくいっていたダイエットが、このところ挫折のきざしにある。お招ばれの会食と旅行が続いたからだ。写真はどれも顔がむっちり膨れて写っていて、非常に不愉快である。中でも圧巻は、旅館の庭に来た野良ネコを抱き上げている写真であろうか。テラスで朝食をとっていたところに迷い込んできたネコである。野良といっても、人に慣れていて毛艶もいい。

「わー、かわいい。一緒に写真とってぇー」

 とか何とか言って、はしゃいで撮ったのがうんのつき。この時私はまだ化粧をしていなかったのである。そこで再びマリコ標語。

「やっぱりよそう、年増の起きたてスナップは」

 女というのは意地が悪いから、旅行先で撮った友人のひどい写真を回覧することがある。私も最近それをやったばかり。女友だちと伊豆に旅行したのであるが、そのときの写真を皆に見せてやった。その女友だちというのは、普段メイクとファッションとでフル装備しているのであるが、手を抜く時との落差がものすごいのだ。

「男性が傍にいないから、本日休業!」

 といった感じが、寝グセのついた髪やすっぴんの顔に表れているのである。海岸に散歩に行く時も、私は一応DKNYのロングワンピースを着ているのに、彼女ときたらトレーナーにジーンズだ。完璧に"休日"状態で、私のまわりの女友だちにその写真は大いにウケた。

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日々美を磨き、幸運を引き寄せる! 女の人生、飽きているヒマはないのです!

美女は飽きない

林真理子
マガジンハウス
2017-06-22

この連載について

初回を読む
美女入門

林真理子

ついに1000回を迎えた、アンアン連載「美女入門」。1997年の第1回には、こんな一文があります。「キレイじゃなければ生きていたってつまらない。思えば私の人生は、キレイになりたい、男の人にモテたいという、この2つのことに集約されている...もっと読む

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